HOME よみもの 波佐見の人 【住めばよかとこ波佐見 vol.1】わたしが波佐見へやってきた理由 2019.11.01 【住めばよかとこ波佐見 vol.1】わたしが波佐見へやってきた理由 by Hasami Life編集部 ―――自分が暮らす場所は、自由に選ぶ。 長崎県波佐見町にも、少しずつ移住者が増えています。波佐見町にやってきたきっかけは、みなさん十人十色。波佐見町に住んでみて、どうですか? 移住者のみなさんにリアルな声を伺います。今回、お話を聞くのは、『波佐見空き工房バンク』『みんなのアトリエ はざま』主宰、福田奈都美さん。波佐見町初の地域おこし協力隊を経て、波佐見へ完全移住した福田さんはどうして波佐見という町に出会ったのでしょうか? 福田奈都美さん福岡県山田市(現嘉麻市)で生まれ育ち、2014年に長崎県波佐見町に移住。好きなものは、器・パン・うどん。多分、粉を練ったものが好き。嫌いなものは、運動と歴史。体を動かすことと、暗記が苦手。『波佐見空き工房バンク』『みんなのアトリエ はざま』主宰。http://fukudanatsumi.com/http://hasami-akikobo.com/ わたしが波佐見へやってきた理由 ――― 移住する前は、どちらに住んでいましたか? 波佐見へ来る前は、博多にある出版社で旅行誌を作っていました。出身は福岡県の山田市(現嘉麻市)です。 ――― 移住するきっかけを教えてください。 5〜6年前、出版業界が厳しい状態になり、本が売れなくなってきて。正直に言うと、会社がちょっと危ない状態になったんですね。先輩方が次々と退社していく中で、「自分はこれからどうするんだろう?」と考えていました。ちょうど30歳だったので、これはきっと“人生のターニングポイント”だなぁと。 担当していたのは、九州や山口県で発行してる旅行誌だったので、温泉地や観光地などはずいぶんと回って見てきましたし、その中で“まちづくり”への興味が深くなっていました。地元のものをデザインやコンセプトを変えることで新たに世の中に出し、それが売れていく様子をたくさん取材させてもらっていたので、すごくおもしろいなぁと思って。 それならば、“観光”に携われる仕事はどうだろうと。意外と、これまでやってきたことと全く違うわけではないだろうと思っていました。その時は“地域おこし協力隊”の存在を知らず、いろいろな地域の観光協会の求人をずっと探していたのですが、流れで “地域おこし協力隊”を知り、応募することになったんです。3年間のお試しというのが魅力でしたね。 ――― 最初から「波佐見町に住もう!」と決めていたわけではなかったんですね。 はい。移住するにしても、母が福岡にひとりで住んでいるので、日帰りで帰れる場所にしようとは決めていました。北海道や沖縄など、遠くへ行くのではなくて、九州にしようと。そして最終的に絞り込んだのが、波佐見町と佐賀県唐津市。 福田さんが移住することになる、焼きものの町・波佐見町。中尾山からの眺めは、まるで日本の原風景のようだ。 元々、器が好きでした。作ったりするわけではないんですけど。「焼きものを作ってる町にしようかな?」という、本当に単純な理由からでした。どちらにも書類を出したのですが、先に波佐見町が面接があったんですね。役場での面接が終わって家へ帰る車中でもう電話が鳴って、「来てもらいたい」と言っていただきました。その勢いに押され、なんだか考える余裕もないまま「お願いします」と返事をしました。 波佐見町初の地域おこし協力隊へ ――― “地域おこし協力隊”はどんな仕事をするのですか? 波佐見町役場の商工振興課に所属し、“まちづくり”、“観光”を担当します。“移住”に関することは課がちがうので本当は担当しないのですが、ある日、役場の人に「東京で行われる移住フェアに一緒に勉強に行きませんか?」と誘われたことがきっかけで、徐々に移住に関する活動もするようになりました。移住フェアは、各自治体が移住希望者の相談にのったり、地域の魅力をアピールする場。東京ビックサイトという、とても大きい会場に北海道から沖縄まで全国各地のブースが集合します。長崎県ブースの斜め前には、大分県と熊本県のブースがあったのですが、大人気の大行列!長崎県ベースはパラパラと人がいる程度でしたが、波佐見町ブースは全然人気がなくて(笑)。長テーブルに一緒に行った役場の人と座っていたんですけど、座って待っていても誰もきてくれませんでした。なので、熊本県ブースに並んでいたおしゃれでいい感じの若いご家族にこちらからお声がけに言ったのですが、「自分達は農業を考えてるから、長崎県を視野に入れていない」という返事でした。長崎県のほかの地域は、海や島をPRしていました。でも、唯一、海がない町である波佐見町。海のイメージを打ち出した長崎の移住PRにも引っかからず、現実を目の当たりに。日本全国に魅力的な地域がある中で波佐見町を選んでもらうためには、もっと個性を出す必要がある。おいしいアスパラを作っていたり、お茶や米の名産地ではあるけれど、アピールがまだまだ追いついていないことを再確認しました。―――仕事内容に変化があったのですね!この時、任期は残り2年ぐらいになっていたのですが、移住は自分の管轄外でもあるし、どうがんばっても短い時間では成果を出せる分野ではないし、どうしたらいいのかと考えました、でも、自分が波佐見に来た理由は、「焼きものが好きだから。焼きものを作ってる町だから」というのが1番でしたので、原点に立ち返ったときに「波佐見は焼きもの」という答えが出ました。個人的にも、窯元巡りをしてFacebookで情報発信をしていたのですが、波佐見町以外で作陶する陶芸家の方から「今、波佐見がすごい人気だから、工房を移したいと思っている」という相談があったりして、波佐見の注目度を肌で感じているところでした。一度だけでなく、何度もあったので、町の中にポツポツ空いてる工房を物件化して、空き家バンクじゃなくて空き工房バンクを作ったらどうかと思いついたのもこのあたりです。 次回は、【住めばよかとこ波佐見 vol.2】「空き工房バンク」がスタートするまでのお話を伺います。 (最初から読む) 【住めばよかとこ波佐見 vol.1】わたしが波佐見へやってきた理由 【住めばよかとこ波佐見 vol.2】「空き工房バンク」がスタートするまで 【住めばよかとこ波佐見 vol.3】結婚、子育て、波佐見でのリアルな暮らし 【住めばよかとこ波佐見 vol.4】地元の人を大事に。移住者としての心得 Tweet 前の記事へ 一覧へ戻る 次の記事へ Hasami Life編集部 この記事を書いた人 Hasami Life編集部 関連記事 2023.09.22 窯元の火を止めるな! 技術と雇用をつなぐ、波佐見焼企業のM&Aに迫ります。 後継者不在を理由に事業をたたむケースも増えているなかで、窯元の高山陶器(現・株式会社高山)と、商社である西海陶器株式会社はどうやって事業承継に結びついたのか。その先にどんな未来を見据えているのか。 新旧の社長に話を聞きました。 2023.08.25 【編集スタッフ募集中】波佐見焼の魅力を伝える Hasami Life 編集部に密着! 「波佐見焼や波佐見町、職人の手仕事のことを知ってもらいながら、ご自宅に波佐見焼を迎え入れてほしい!」これがHasami Life編集部の願い。週1回のよみもの配信を中心にさまざまな活動をしています。実際、どんな仕事をしているのでしょうか? 今回は、編集部員のたぞえさんに密着します。 2023.06.30 窯元探訪【大新窯】vol.27『子ども食器、誕生秘話。』 焼きものの町・波佐見の中でも、特に多くの窯元が集まる中尾山。その中でも「世界最大・最長の登り窯跡地」という、とびきりロマンある場所で波佐見焼を生み出す『大新窯』さん。後編では、3代目社長の藤田隆彦さんにもご登場いただき、子ども食器の誕生秘話について伺います。
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