住めばよかとこ波佐見 vol.2

by Hasami Life編集部
住めばよかとこ波佐見 vol.2

―――自分が暮らす場所は、自由に選ぶ。長崎県波佐見町にも、少しずつ移住者が増えています。波佐見町にやってきたきっかけは、みなさん十人十色。波佐見町に住んでみて、どうですか? 移住者のみなさんにリアルな声を伺います。

「波佐見空き工房バンク」「みんなのアトリエ はざま」主宰、福田奈都美さんのインタビュー(第2回)です。波佐見町へ移住し、「空き工房バンク」がスタートするまでのお話を伺います。


福田奈都美さん
福岡県山田市(現嘉麻市)で生まれ育ち、2014年に長崎県波佐見町に移住。好きなものは、器・パン・うどん。多分、粉を練ったものが好き。嫌いなものは、運動と歴史。体を動かすことと、暗記が苦手。『波佐見空き工房バンク』『みんなのアトリエ はざま』主宰。
http://fukudanatsumi.com/
http://hasami-akikobo.com/

任期が終わっても、波佐見で働く

――― 空き工房バンクはどのように実現させたのですか?

最初は、口頭で役場に構想を伝えました。役場は年度によって予算が組まれているので、「今、やりたい!」と手を挙げたとしても、きちんと予算を組んだら翌々年の4月スタートになるんですよね。わたしはもう残りが1年ぐらいになっていたので、それだと最後まで責任を持ってやれないだろうからと、補助金制度に応募することになりました。企画書を作り、役場の人にも協力してもらったのですが、落ちてしまって。そうしたら、その時、役場企画財政課だった朝長さんが「観光とは違う分野だけど、移住の先には必ず観光があるから」と、翌年の4月からスタートできるように予算を組んでくれたんです。 

不動産業に関しては知識も経験もなかったので、福岡のひかり生活デザインさんという、リノベーション物件などを中心に扱っている会社にアドバイザーとして入っていただき、仕組み作りをお願いしました。そこに、地元の不動産会社、役場、わたしが入って、4社で動くような形をとりました。

 

――― 地域おこし協力隊の任期が終わったあとは、どのような働き方をしていますか?

空き工房バンクを引き続き、運営しています。元々、生地屋さんだった工房を物件化し、役場に借上げをしてもらい、空き工房バンクの事務所として利用してます。「みんなのアトリエ はざま」というプロジェクトもスタートさせ、波佐見空き工房バンクの活動の一つとして交流スペースを作りました。

古さと工房らしさを生かした焼きものの町ならではの雰囲気の中で、創作活動のための移住相談ができる。一部スペースをレンタルしている。(撮影:藤本幸一郎)

――― 空き工房バンクには、現在どのくらい登録があるのですか?

登録は20件です。実際に稼働しているのは、7件ですね。数でいうと、成果は少ないんですけど、わたしは「町の人口を100人増やしたい!」というような数の目標を掲げているわけではなくて、「1人の魅力的な方に来てもらいたい!」と質に重点を置いた目的としてやっているんですね。もちろん、町から補助していただいている分、成果がゼロというわけにはいかないので、まだまだ努力するべきところだと思っています。

 

――― 空き工房バンクは、どのような方が利用されているのですか? 

空き工房バンクを利用しているのは、近郊の方が多いです。長崎県内の佐世保市の方、町内に住んでいて独立した方々、福岡との2拠点生活をしている方などなど。工房の特性もあるとは思うのですが、利用者はやっぱり焼きものの方が多いんです。でも、空き工房バンク自体は焼きものの作家さんだけを募集しているわけではないんです。木工作家さんだったり、デザイナーの方だったり、カメラマンだったり、いろんなものづくりの方に来てもらいたいと思っています。雑貨屋、カフェなどをやってみたい方なんかもいいですね!

 

――― 空き工房バンクが気になっている人はどうしたらいいですか?

ぜひ、お問い合わせください。問い合わせ自体は、全国いろいろなとこから来ますよ。でも、実際の利用者はどうして近場の方が多いかというと、いい物件はすぐに決まってしまうから。物件をすぐに見に来れるというフットワークの軽さがあれば、いい物件とめぐりあいやすいのだと思います。

現在(2019年10月末)、募集中の0.5㎡のガス窯付きのアトリエ。独立や移転を考えている陶芸家の方におすすめです。

波佐見で商売をされたい方は特に駐車場が必須になってきます。波佐見町は駅がなく、観光客は車で来る方がほとんどなので、公共の駐車場の近くにある物件や敷地内に駐車場が確保できるかがかなり重要なポイントにはなりますね。

 

空き工房バンクで移住者をサポート

―――焼きものの作り手になりたいときはどうしたらいいでしょうか? 

基本的には、自分で工房を持ちたい方のご相談をお受けしています。でも、まずは現場で働いてみたいという相談も実際にあります。その場合は、給料など、少し現実的な話をし、それでもできそうか?っていう覚悟を少しうかがいながら進めています。

窯元によってほしい人材もいろいろなのですが、わたしができるのは本人の要望を聞き、どこか合いそうなところがあれば、まずは一緒に行ってみる感じですね。例えば、先日は波佐見への移住を考えてるという女性の方がいらっしゃいした。ものすごく細かな彫りをすることで有名な窯元でずっと働いていた経験者の方だったので、私のできる範囲の中でご案内しました。結局、採用してもらえるかどうかなどの責任は負えないのですが、実際に窯元に入社した人もいますし、最初は期間限定のアルバイトからスタートした方が気が付いたら正社員になっていたりという事例もありますよ。

 

―――移住者として移住者をサポートしているんですね!

空き工房バンクがメインのお仕事ですが、それ以外にも移住者のサポートをしていきたいと思っています。フリーランスの企画・編集者として、移住に関するモニターツアーなどのイベントを企画することもあります。他にも、移住者へのインタビューをまとめて年に一回、小さな冊子を作っています。今回は、波佐見へ移り住んで仕事をしている女性4人を取材しました。

自ら企画編集する「波佐見町移住ナビ」。町内と、長崎県と東京の移住サポートセンターで手に取ることができる。

普通に家を探してるんだったら、わたしよりも役場で対応している空き家バンクの方がおすすめです。ただ、いま働いていて、役場が開いている時間はどうしても動けないという方は、空き工房バンクに問い合わせてもらえたら。基本的に1人でやってるので、予約制にはなるんですけど、日曜日でも祝日でも17時以降でも、都合を合わせていただけるなら対応したいと思っています。移住相談で役場に行くって、結構ハードルが高いんですよね(笑)もう覚悟があったり、明確なものがないと行きづらいけど、もうちょっとカジュアルに「波佐見、ちょっとどんなところかな?」ぐらいでも、全然来てもらえたらいいなって思ってます。



次回は、波佐見町で結婚し、子育てをしている福田さんのリアルな暮らしについて伺います。

(つづきます)

この記事を書いた人
Hasami Life編集部