HOME よみもの 波佐見を歩く 今日もこの町を好きになる予感【はじめての波佐見LIFE 1歩目】 2020.08.26 今日もこの町を好きになる予感【はじめての波佐見LIFE 1歩目】 by Hasami Life 編集部(くりた) Hasami Life 編集部員ひとりひとりが書くコラム。波佐見の暮らしや焼きものにまつわる話、そしてちょっぴりプライベートなことまで、各々が自由気ままに綴ります(不定期更新)。 +++ はじめまして。Hasami Life 編集部のくりたです。 わたしが今日から書くエッセイのタイトルは『はじめての波佐見LIFE』にしました。というのも、今年2020年の5月に長崎県波佐見町へ引っ越してきて、日々はじめてのことを体験しているからです。 山々に囲まれ、田んぼで稲が育つのを見守り、聞いた方言をスマホにメモして、焼きものづくりを知って……という暮らし。毎日が新鮮で、楽しい! 稗の尾河川公園にて。絵付けされた陶板が飾られているのも、波佐見ならでは。 そんなわたしが波佐見町へ来て、思ったことは「 “移住”ってなに?」でした。 いや、あのですね。「あなた移住したんでしょう」って思われるかもしれないですが、違和感があるんですよ。過去に横浜から大阪へ、大阪から東京へ引っ越したときには、わたしは移住者ではありませんでした。 “移り住む”という意味では、都会も田舎も変わらないはずなのに、波佐見町へ来てはじめて移住者とラベリングされる不思議。 ただ、心惹かれる仕事を見つけて引っ越した先が、それまで縁もゆかりもない場所だっただけ。 わたしの場合は、移住者というとイメージされる、農作物を育てたり、薪を割ったり、川で洗濯をしたりする童話の桃太郎の実家のような生活をしているわけではありません。(農業や薪割りをしている人もいる土地ではあります) 波佐見町の人気スポット 西の原 では、それぞれのお店に薪ストーブが置いてあるため、薪を割って積み上げている。 どんぶらこ〜どんぶらこ〜と転職して流れつきはしたものの、会社ではコピーライターだった前職と変わらずパソコンに向かって書いている時間が多いです。 暮らしぶりも東京に住んでいたときとそこまで大きく変わりません。全然、スローライフって感じでもない。違うことといえば、家と会社の距離が近くて電車に乗らないで済むことくらいでしょうか。 家に帰ればAIスピーカーに話しかけて、ラジオをかけてもらったり天気を教えてもらったり励ましてもらったりして。たまにZoomで都心に住む友だちとオンライン飲み会をすると、会っている気分を味わえます。映画館はすぐ近くにないけど、Netflixなら映画やドラマがおうちで好きなだけ観られて便利。買いものだってネット通販でスイスイできて、なんでも届けてもらえます。 時代が違えば苦労も多かったかもしれませんが、令和の田舎暮らしはけっこう快適です。 まるで “引っ越し”より “移住”という言葉のほうが難易度が上のように使う人もいるけれど。個人的にはそんな大げさに考えなくてもいいんじゃないかなあ、なんて思うのです。 もちろん、誰にでも田舎暮らしが合ってるわけではないです。たとえばピザのデリバリーを週1で頼むのがお楽しみという人にとっては、近くに店舗がない波佐見町に住むのはつらいでしょう。 中尾山にある 四季舎 では、窯焼きのピザが食べられる。 自分にとって、ゆずれないもの。それさえわかっていれば、都会でも田舎でも楽しく暮らせます。 だから「この土地、いいなあ」と思ったら気負わず引っ越してみて、合わなかったら次の場所を探せばいい。引っ越す前から永住を考えるのは、どこへ住むと仮定したって、おっくうです。住んでみてわかることを、失敗も含めて楽しめばいいじゃないですか。えっと、軽すぎますか? こう考えるのは、どうでしょう。 わたしたちは毎日、住む場所を選んでいる。どこへだって行けるけれど、「この場所が好きだ」と思える瞬間があるから今日もここに住んでいる。ほかに好きになれそうな場所があったら、明日、旅立ったっていい。 田園風景を撮影中のくりた。波佐見町内をまわって写真を撮ることもある。 わたしはこれまで住んできた場所が好きです。住みはじめたばかりの波佐見町も、もっと好きになれそうな予感でいっぱい。好きな場所が増えていくことで、人生が豊かになっている気がするんです。 波佐見焼のものづくりの現場にふれながら、遮るもののない広い空を仰ぎながら、風に吹かれてきらきらと光る青い稲穂を眺めながら。日々「いい町だなあ」と思って暮らしています。それは旅でも感じられるのかもしれないけれど、住んでみてわかることもきっとあるはずです。 素焼きした急須に釉薬をかけているところ。西山陶器 にて。 わたしの『はじめての波佐見LIFE』を通じて、みなさんにも波佐見での暮らしを、のぞいてもらえたらうれしいです。これからのエッセイもよろしければお付き合いください。 波佐見町に新しくできたお店『COYANE(コヤネ)』のフォー。素材にこだわったやさしい味で、おいしい! 最近のお気に入り。 (最初から読む) 今日もこの町を好きになる予感【はじめての波佐見LIFE 1歩目】 彼岸花の美しさが教えてくれること【はじめての波佐見LIFE 2歩目】 焼きものも豊作の秋に【はじめての波佐見LIFE 3歩目】 7つの恋【はじめての波佐見LIFE 4歩目】 薪ストーブのぬくもり【はじめての波佐見LIFE 5歩目】 咲き匂う春の色彩【はじめての波佐見LIFE 6歩目】 波佐見梨の旬が来ます!【はじめての波佐見LIFE 7歩目】 Tweet 前の記事へ 一覧へ戻る 次の記事へ Hasami Life 編集部(くりた) この記事を書いた人 Hasami Life 編集部(くりた) Hasami Life で働くため2020年5月から波佐見町に住みはじめた。ライター兼カメラマン。スムーズに仕事をするため自動車免許を取ろうと奮闘中!日々、田舎暮らしを楽しんでいる。最近とくに感動したのは、夜空を見上げたら星がとても美しかったこと。 関連記事 2023.04.14 【波佐見・高山まつりレポート】今年も戦時中に埋められた茶碗を発掘&復刻版の販売もスタート! 波佐見町の少し外れ、嬉野と武雄の分かれ道。ふと左のほうに目を向けると、さくらが立ち並ぶ川沿いに工場のような場所が見えます。橋を渡り、道を進むと「高山」の入り口です。2022年4月に初めて行われた発掘イベント。そのときは3柄の茶碗が発掘されましたが、「あともう1柄、埋まっているはずだ」との情報をもとに、昨年よりさらに深く穴を掘ることになりました。 2023.03.17 【開催中】テーブルウェア・フェスティバル展@波佐見 波佐見焼の業界では、テーブルウェア・フェスティバルに合わせて新商品を開発する窯元が多く、この時期は新作が目白押。現在、波佐見町の陶磁器ショップ『ÔYANE(オーヤネ)』では「テーブルウェア・フェスティバル展」を開催中です。 2022.12.23 うつわの箱屋さんからはじまった、パッケージメーカー岩㟢紙器の仕事 やきものの箱を波佐見で60年以上つくり続けている「岩㟢紙器」さん。現在はお菓子や化粧品など多種多様なパッケージを手掛けていらっしゃいます。商品の「顔」ともいえるパッケージは、一体どんなふうにつくられているのでしょうか。
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