原田製茶さんに聞く! おいしいお茶の淹れ方
みなさんは、どうやってお茶を淹れていますか? 茶葉のよしあしだけでなく淹れ方でも味が変わると言いますよね。
あんまり難しいことはチャレンジできないけど、日々おいしくお茶を飲む方法を知りたい! そんな気持ちで、Hasami Life 編集部は原田製茶を訪ねました。
以前、Hasami Lifeでは代表の賢一さんにインタビュー。波佐見町鬼木郷でのお茶づくりのことをじっくりうかがいました。そのきっかけも、原田製茶さんへはじめて訪れたときにカツ子さんに淹れていただいた、一杯のお茶だったのです。
カツ子さんは、お家に併設されている茶房でお客さまをもてなすことも多いそう。私たち編集部もお茶を淹れていただいたら、それがとてもおいしくて! その場ですぐに取材を申し込み、賢一さんへのインタビューが実現しました。
鬼木郷だからこそのお茶づくりを訊いた vol.1
https://hasamilife.com/blogs/blog/haradaocha-1
製茶の奥深さ、玉緑茶の魅力について訊いた vol.2
https://hasamilife.com/blogs/blog/haradaocha-2
それだけなく、私たちHasami Life 編集部はもうひとつお願いをしました。おいしく淹れるコツをおしゃべりしながら、楽しそうにお茶を振舞ってくださるカツ子さんの姿を見て、「お茶の淹れ方を教えてほしい!」と思ったのです。
今回は本格的な方法ではなく、日々の暮らしでお茶を楽しむためのコツを聞いてきました。さあ、気負わずに、カツ子さんと一緒にお茶を淹れてみましょう。
準備するもの
・茶葉 1人前 約3グラム
・お水 少々
・お湯
急須やポット、土瓶、湯冷まし、カップなどはお好きなものをご用意ください。
コツは、水で茶葉を開かせること。
楽しいレッスンのスタートです! お湯を沸かす手配をしたら、茶葉を急須やポットなどに入れます。今回は急須で淹れてもらうことに。茶葉は、1人分で約3グラム(ティースプーン一杯くらい)。だいたいでかまわないそうです。自分のよく使うスプーンやさじですくって何グラムくらいか、一度測ってみてもいいかもしれません。
「お茶の葉は湿気が一番嫌いだから、しっかり密封して保管してくださいね」とカツ子さん。
次に必要なのは、お水。茶葉を開かせるために、最初に入れるんだそうです。茶葉が湿るくらいの量、だいたい大さじ一杯を入れます。
「こうしてお水を入れておくと、茶葉がゆっくり開いて旨みをじっくり引き出すことができます。水を入れて茶葉を開かせるのはお湯を沸かす直前でもいいし、1〜2時間前でも大丈夫。お湯と違って置いておいても酸化しませんから。たとえばお客さまが来る日は、早めに茶葉を水で湿らせておくといいですよ。急須ごと冷蔵庫に入れておけば、準備で慌てずにすみます」
たしかに、お客さまにお茶を出すときって、つい慌ててしまうもの。早めに準備しておくと、気持ちの面でも安心です。自分でお茶を飲みたいときも、時間を気にせず冷蔵庫に入れておくだけなので楽ですね。
フタの穴のベストポジションって?
お湯が沸いたら、湯冷ましをします。緑茶を淹れるのに適しているとされる70〜80度ほどの温度に下げるのです。
沸騰したお湯を、湯冷ましに入れ、それからお茶を飲むカップの6分目まで注ぎます。
こうして、二度移すことで適温に冷めますが、そのときの気温によって下がる温度も異なります。何度か湯冷ましとカップのあいだでお湯を往復させてもよいです。ただ、もともと急須に少量のお水を入れてあるぶん急須内でも温度が下がるため、そこまで神経質にお湯の温度を気にしなくて大丈夫とのこと。
カップに注いだお湯を、急須に注ぎます。先に水を入れて茶葉を開かせてるので、蒸らす時間は30秒くらい。
「急須のフタは、穴の位置も気にしてあげてくださいね。注ぎ口と穴が近くになるようにするといいです」
フタの穴のベストポジション、気にしたことはありますか?
このフタの穴があることで急須内に空気が入ってお湯が対流します。その対流を起こすための穴のベストポジションが、注ぎ口に一番近い位置なのです。
「急須の中に空気が取りこまれて、茶葉がお湯の中で舞うように動きます。そうするとお茶本来の旨みや香りがしっかりと抽出されるんですよ」
やさしく、最後の一滴まで注ぐ。
急須にお湯を注いで、だいたい30秒蒸らしたら、色を見ながらカップへ注いでいきましょう。普通の淹れ方だともう少し長く蒸らしますが、水で茶葉を開かせているので短めで大丈夫です。
お茶は注いでいくほど色と味が濃くなるので、複数人ぶん淹れるときは、少しずつ、まわし注ぎしてあげてください。ひとりぶんを淹れるときも、注いでは戻して、2〜3回で注ぎきるとよいそうです。
「注いで戻すごとに、注ぎ口のほうに集まった茶葉も湯に戻って、急須の中でまわるんです。そうすると色が濃くなっていきます。でも、色が出ないからといって、強く揺すらないほうがいいですよ。苦味が出ちゃうので」
やさしく注いであげてくださいね、とのこと。カツ子さんの所作には急いだところがありません。ゆっくり、やさしく。格式張っていない気軽さが、お茶を飲む前からほっこりした時間をつくりだしてくれます。
一番味が出る、最後の一滴まで丁寧に注げば、できあがり。
今回淹れていただいたお茶は、原田製茶さんがつくった最上級の玉緑茶「鬼木みどり 心茶」。日本茶アワードで準大賞に輝いたこともあるお茶です。
「どうぞ飲んでみてください」と進められて、お茶をひと口。香りまで濃厚で、ふわっと包み込むような甘みと、まるでお出汁のような旨みに、からだの余計な力が抜けてリラックスできました。口の中に心地よい余韻が残り、次のひと口を飲みたくなる後味です。
ちなみに、お手頃な値段のお茶でも淹れ方でおいしくできるのかしら、と編集部で「鬼木みどり 心茶」の半額以下の茶葉を使ってお茶を淹れてみました。すると、いつもよりしっかり甘みと旨みが感じられましたよ。
お茶淹れのコツをいくつも教えてくださったカツ子さん。どうやって勉強したのですか?とお訊きすると、ニコッと笑って答えてくれました。
「お客さまから『こんな風に淹れたらおいしかったです』って、教えてもらうことが多いんです。うちのお茶を飲んでくださった方から、そんな風にお言葉をいただけるのはうれしいですね」
カツ子さんはお茶淹れをとても楽しんでいらっしゃいました。みなさんもいつものお茶を、いつもよりおいしく淹れてみませんか?