【イベントレポ】料理人×波佐見焼『Nothing But UMAIMON』
ふだんづかいの器として人気のある波佐見焼。昨今では“料理が映える器”として、 プロの料理人からも注目されつつあります。
2019/12/22〜23、東京メトロ溜池山王駅に直結している赤坂インターシテAIR内「アーティザンテーブル ディーン&デルーカ (THE ARTISAN TABLE DEAN & DELUCA) 」で行われたイベントでも、今、話題の若手料理人たちと波佐見焼のコラボレーションが実現しました。
今、話題の若手料理人が腕をふるった2日間
イベントには、都内有名店のシェフ5人とバーテンダー1人が集結。『Nothing But UMAIMON』と題して、この日だけのスペシャルメニューを披露する会とあって、各店の常連客を中心に舌の肥えた美食家たちが集まりました。
参加したのは、やきとり阿部の阿部友彦さん、鍈輝の小野田幸平さん、肉匠 堀越の末富信さん、鈴田式の田代秀人さん、eat creatorのJACKさん、そしてBAR Shioの高塩直樹さん。「ふだんから仲良くしていた30代前半の料理人たちで、何かおもしろいことをやろうと企画しました」と代表のJACKさんは話します。
自分たちが作りたい&食べたいメニューだけ!
会場は、前菜・汁物・焼き物・デザート・カクテルとそれぞれブースが分かれており、料理を受け取ってテーブルに着席してゆっくりといただくスタイル。ちなみに焼き場は外。まるでBBQのような、クリスマスパーティーのような、アットホームな雰囲気の中で提供される料理は驚くほどに豪華で本格的なものでした。その理由とは…?
「ふだん、自分の店では絶対に出さない料理を出すのがテーマなんです。焼き鳥屋がいつもは決して使わない食材を焼いたり、すっぽんを贅沢に使ったラーメンを作ったり。参加した料理人全員が採算度外視で考案したメニューばかりなんですよ」。
料理人の器の選び方
この日、料理を盛り付けた器のほとんどは波佐見焼。料理人のみなさんは、事前に波佐見焼のショールームに足を運び、数多の器の中からセレクト。料理だけでなく、器にまで遊び心を加えたイベントになりました。器はどのような視点で選ばれたのでしょうか? ひとりひとりにお話を伺いました。
『やきとり阿部』阿部友彦さん×波佐見焼
やきとり阿部の阿部さんが手に取ったのは、Karakusaシリーズ。エゾ鹿の赤身肉が映える器を探していたところ、ブルーが印象的なこの器を見つけたそうです。お店では、柄ものや変わった形の器を使わないそうですが、今回はあえてのチャレンジ。「日常づかいがメインといわれている波佐見焼ですが、お客さまにお出しする料理をのせると、また新しい発見があって楽しかったです」と阿部さん。「“お店”という空間を作る意味では、器は料理と同じくらい大事なもの。器あっての料理、料理あっての器ですもんね」。
『鍈輝』小野田幸平さん×波佐見焼
「とにかく色が綺麗だなあと思って。パッと見てすぐに心が決まりました」と話してくれたのは、鍈輝の小野田さん。器を選ぶ前から、メニューはなんとなく決めていたそうですが、この器にしたことで仕上げは若干調整。「白子やチーズはもともと焼こうと思っていたんですね。本当は何かソースをかけようかなぁと考えていたのですが、この器にのせるなら“白焼き”にしたいと思いました」。
『肉匠 堀越』末富信さん×波佐見焼
「これ以外ない!とすぐに思いました。だって、きれいですもん」と、キラキラと光る“銅器彩”のボウルを選んだ理由を教えてくれたのは、肉匠 堀越の末富さん。「この器しかないと思った。それだけです。今回は炊き込みご飯を盛り付けましたが、お野菜も映えそうですよね。煮物とかもよさそうじゃないですか」。器屋さんにもよく足を運ぶという末富さんは、器は気持ちで買うものだと断言。「器選びは、とにかくいつだってフィーリングです」。
『鈴田式』田代秀人さん×波佐見焼
「実は、波佐見焼のことは知らなかったんです」と話してくださったのは、鈴田式の田代さん。ふだんは和食料理人だが、今回はフレンチと中華のエッセンスを料理に込めたことが本イベントならではのチャレンジ。炭火で焼いた鰆に菊芋と白味噌のピューレを添えた一品では、「抹茶碗の新しい提案ができたらいいなと思って選びました」とhaku碗をセレクト。見た目よりも軽くて手馴染みのよい抹茶碗は、持ちやすさと食べやすさを兼ね備えており、まさに抹茶碗の可能性を見せていただきました。
パティシエ JACKさん×波佐見焼
JACKさんは5人のシェフの中で唯一デザートを作るパティシエ。でも、メニューには “コロッケ”の4文字が。「コロッケと言っても、じゃがいもではなく、フランスから仕入れたセルフィーユの根を使っているんですよ」。まさに唯一無二のコロッケは、田代さんが使用した鯛皿と同じシリーズの小さい皿にのせ、年末のちょっぴりおめでたい気分をプラス。「これって誰も使ったことないんじゃない?という器が好きなんです。目の前の器をどう使うか、その発想力が料理人の腕。だから、“え!なに、これ!”って思う器を選んじゃうんですよね!」。
料理も、器も、楽しむ!
今回のイベントに参加している料理人のみなさんは、予約が取れないお店の店主ばかり。日常づかいにぴったりといわれている波佐見焼も、プロの料理人の腕にかかることで、一味もふた味もちがった印象を受けました。と言っても、器の選び方は、ひとそれぞれ。それはプロでも、アマチュアでも変わりません。直感を頼りにしながら、気に入った器を選んで、好きな料理を盛り付ける。とても楽しそうなみなさんの表情が印象的でした。