HOME よみもの 器と技 ロングセラーを味わう。 2019.11.01 ロングセラーを味わう。 by Hasami Life編集部 半世紀を生き抜いた器 この50年の間だけでも、世の中では、次々と新しいモノが生み出され、数多くのモノが消えてきました。もちろん、波佐見焼の世界でも同様です。 昭和40年代、日本は高度成長期の真っただ中にいました。大量生産や大量消費が当たり前になる中、日常食器を得意としていた波佐見焼は全国に普及。庶民の生活を支えてきました。時を同じくして培われた技術やノウハウは、産業としての波佐見焼の“礎”となり、現代へとつながっています。 激動の時代を生き抜き、今も昔も変わらない姿でひっそりと長らえているモノ。例えば、西海陶器の器でいえば、『西花』と呼ばれるシリーズです。いつか、おばあちゃんやおじいちゃんの家で見たことがあるような、なつかしい模様。 “染付(そめつけ)”という技術が施されている器です。 染付に込められた人々の思い 染付とは、やきものの装飾技法のひとつ。呉須と呼ばれる絵の具で、白地の素地に線を描いたり、“だみ”と呼ばれる作業(輪郭を線描きし、だみ筆と呼ばれる太い筆で内側に呉須をむらなく塗る技法)を施したりしたものをいいます。 染付の佇まいは簡素で目立ちません。しかし、手仕事で施された絵柄には、素朴な風情と愛嬌があります。また、それぞれの絵柄には、豊かな暮らしを願う人々の思いが込められています。 「ゆめじ」 【ゆめじ】シンプルな一本線にワンポイントの梅柄。寒い時期に花を咲かせ、春を呼ぶとされる梅は『不老長寿』を象徴としています。線描きとゴム印と綿判(スポンジ製の判子。窯元の手作り)で染付を行っています。よりよいものを作るために、ひとつひとつの道具にまでこだわり、生産されていることがわかります。 熟練した職人であるからこそ、目測で器の中央にゴム印を打つことができる。 「まんりょう」 【まんりょう】万両の葉と実を模した柄。大金を彷彿とさせるめでたい名前から、『商売繁盛』の縁起物とされています。口(口縁)には、1点1点ろくろで縁錆(ふちさび)が施されています。縁錆(鉄の入った下絵具を口縁に塗ります)を施すことで、可愛らしさが残るまんりょうの柄が一気に引き締まった印象になります。 まんりょうの絵柄は、“イッチン描き”とだみ作業で仕上げる。イッチン描きとは、泥漿(粘土と水を混ぜたもの)や釉薬で盛り付ける装飾技法のこと。はじめに輪郭を線描きしてから、だみ筆と呼ばれる太い筆で内側に呉須をむらなく塗っていく。 「わかたけ」 【わかたけ】竹林を模した柄。成長が速く、真っすぐに伸びる竹には、『子孫繁栄』の意味があります。竹の濃淡は奥行があるさまを感じさせてくれます。わかたけの染付は、ゴム印製作の技術と、打つ人の技術が重要になります。 判子の打つ場所にしるしを書くことなく、絶妙な力の入れ具合かつ軽快なリズムで打つ職人。 手彫りのゴム印は緻密な表現が可能。「機械彫りだと耐久性は半年くらい。手彫りは手間はかかるけど10年以上は使えます」と話す製造窯元 中善・工場長中村さん。手彫りのゴム印なしでは器の生産ができない。 「とくさ」 【とくさ】シダ植物の「木賊(とくさ)」を施した縦線の柄。「木賊の葉で金を磨くと光沢が増す」ことから、『金運』を呼ぶといわれています。木賊=十草と表記することもある。ふだんづかいにもおすすめの器です。 「あみ」 【あみ】漁猟の網を模した連続性の柄。網は福を「すくいとる」といわれており、『商売繁盛』の意味が込められています。大柄の器が1つあるだけでもテーブルが栄えそうです。 「ぶどう」 【ぶどう】葡萄の房を模した柄。房に沢山の実を付けることから『子孫繁栄』の意味があります。勢いがある筆さばきは、熟練した職人の技が見られ、”線描き”と“だみ”が施されています。 庶民の等身大の営みを映し出した器だからこそ、時代を越えて求められる。高度成長期から続く良質な波佐見焼の技術を見つめ直し、日の当たる場所へと導いていく標となっているのが、この「西花」というシリーズです。波佐見焼の“いまだからこそできる”技術を持って、再構築した6種類の染付は、今日も職人たちによって丹精込めて製作され続けています。 この記事に関連する商品 ゆめじ M5号土瓶 ¥2,750 ゆめじ つぼ仙茶 ¥660 ゆめじ 3寸皿 ¥660 まんりょう 徳利 ¥990 まんりょう 盃 ¥660 まんりょう 3寸皿 ¥550 わかたけ 飯碗 ¥1,100 わかたけ 仙茶 ¥660 わかたけ 大鉢 ¥2,420 とくさ 5寸皿 ¥1,760 とくさ 盃 ¥770 とくさ 徳利 ¥1,760 あみ 3寸皿 ¥880 あみ 汁次 ¥2,200 あみ そば猪口 ¥1,100 ぶどう そば猪口 ¥1,320 ぶどう 3寸皿 ¥880 ぶどう 丼 ¥2,530 Tweet 前の記事へ 一覧へ戻る 次の記事へ Hasami Life編集部 この記事を書いた人 Hasami Life編集部 bowl-technique 関連記事 2022.05.20 デザインいろいろ! 花柄のうつわ 花盛りから、あっという間に新緑の季節。花咲く景色には心が癒されますし、部屋にも花を飾ると気分が上がりますよね。これからの季節、テーブルウェアに「花」を取り入れて、日々に彩りをプラスしてみませんか。 2022.05.08 【5/8まで!】オンライン陶器市&編集部おすすめ波佐見焼も! オンライン陶器市も終盤。おトクに買える今だからこそ、さらに買い足したい器、気になっていたから一度使ってみたい焼きものなど、Hasami Life編集部の3人が注目している波佐見焼を紹介します。この機会にぜひ、お気に入りの波佐見焼をお迎えくださいね! 2022.05.03 【波佐見焼】2022年4月の人気ランキング(2022.4.1〜4.30) 2022年4月の『Hasami Life 人気波佐見焼ベスト5』の発表です。5月8日 (日) 24:00まで使用できる割引クーポンを利用して、ぜひ人気の波佐見焼をお得にゲットしてくださいね!
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