はじまる、グリーンツーリズム vol.2

はじまる、グリーンツーリズム vol.2

2020.02.28

クラフトツーリズム活動の原点『朝飯会』

クラフトツーリズム。それは、窯業(クラフト)の技術や人に付加価値を見いだす観光事業(ツーリズム)のこと。波佐見町では、地域資源に磨きをかけ、焼きものの町を丸ごと体感してもらおうという取り組みをスタートしています。

波佐見町のクラフトツーリズム活動の原点でもあり、核ともいえるのが『朝飯会(ちょうはんかい)』。朝飯会とは、月に一度さまざまな人々が集まり、朝食をとりながら各々が好きなテーマで自由に語り合う会。いわば、“しゃべり場”です。全国でもたいへん珍しい波佐見町ならではの情報交換スタイルは、たくさんの人々に支持され、昨年12月で200回目を迎えました。

『第200回 朝飯会』には、常連はもちろん町内外から100名ほどが参加。オープニングの挨拶は、主宰である波佐見焼振興会および西海陶器株式会社の代表取締役会長・児玉盛介さん。

 

会場は、波佐見町・西の原。日本自動車連盟が開催した「令和初の夏休みに行きたいスポット ご当地応援グランプリ」で第1位に輝いた、全国から注目されているお出かけスポットだ。

 

『朝飯会』は人智結集の場

朝飯会の前身は、焼き物卸業の深澤清さんが発起人の『早起き勉強会』。仲間を中心に5~6人だったメンバーは徐々に増えていったそうです。朝飯会という名称でスタートしたのが、2003年5月。この頃には、波佐見町の交流拠点『文化の陶 四季舎』や婦人部『つんなむ会』も発足。町には、様々な形の情報交換の場が登場しますが、月に一度の朝飯会はそんな人智が結集する、重要な場所となっていきます。

一瀬政太町長も初期から顔を出すひとり。「町民の意見を直接聞くことができる朝飯会という場があり、町長として恵まれています」と話した。

 

お隣の佐賀県武雄市より、小松政市長も祝いに駆けつけた。2019年、九州北部を襲った記録的大雨の災害対応等の経験も踏まえ、“地域の繋がり”の重要性を語った。

 

朝六時半、まちづくりのはじまり

朝飯会は、毎月第1土曜の午前6時半からはじまります。参加者は、驚くほど幅広く、大学教授や大手企業の重役、アーティストやプロデューサー、はたまた地元の主婦や農家の方、そして学生も、職業・年齢・性別・地域を問わず、来るもの拒まず。ただし、自慢話と宣伝はNG(笑)。

多いときには、50人ほど集まります。指名された順に、簡単なスピーチをするのが朝飯会のルールですが、テーマはどんなものでもOK。「“自分の考えていることを、自分の言葉で話す”、それが最も大事なこと」と主宰の児玉さんは話します。飼っているペットの話、最近食べた美味しいご飯の話など、些細で身近なテーマだとしても「スピーチをする」という目的が加わることで、新しい視点が見つかる。参加者による発表ひとつひとつが、波佐見町のまちづくりのアイディアへ繋がっているのです。

この日は、特別講師として『スローフードな人生!』『エクソシストとの対話』で知られるノンフィクション作家の島村菜津さんが登壇。世界を旅し、日本を巡り、感じた ことを惜しみなくお話くださった。

 

文化の陶 四季舎、モンネ・ルギ・ムック、にぎりめしかわちの3組による、地元の食材をふんだんに使ったおいしい料理がふるまわれ、参加者は舌鼓を打った。

 

朝飯会の有志による、創作劇の発表も。「かさ地蔵」をベースにしたオリジナル脚本は、町ならではのネタが随所に散りばめられた大作。会場のいたるところから笑い声が漏れた。

 

※朝飯会への参加希望者は、特定非営利活動法人グリーンクラフトツーリズム研究会 事務局長 小林善輝(090-8832-0496)まで。毎月第一土曜日に833スタジオ(西の原)にて開催。

 

次回は、「第1回クラフトツーリズム産業協議会」全国大会の様子をレポートします。

(つづきます)

この記事を書いた人
Hasami Life編集部