波佐見へ行ったら、まずここへ vol.1

波佐見へ行ったら、まずここへ vol.1

2019.11.01

波佐見町へやってきたら、訪れてほしい『場所』がある。初めての人はもちろん、2度目の人でもたのしめる、とっておきのスポット、波佐見の“観光”を切り開いた「文化の陶 四季舎」。地元住人にも愛される波佐見町の交流拠点で、館長の畑中昌三さんに波佐見のいま&波佐見のむかし話を伺いました。

 

「遊び場」から始まった町の拠点

――    四季舎はどんな場所ですか? 

畑中さん(以下、畑中) 焼きもの工場の跡地を地元のみんなで改修し、交流拠点にしたんです。お昼はお食事処になっています。

 

――    どうしてできたのですか?

畑中  バブルが弾けたとき、波佐見焼が衰退しかけたんですよね。工業と商売ばっかりでは、波佐見町がだめになってしまう。だから、今度は観光をせんばねえって。ちょうどその頃、波佐見町が「来なっせ!100 万人」というスローガンを掲げて、観光交流人口を増やす取り組みを始めたていたんです。

 

――    ということは、観光の拠点としてつくられた?

畑中  そういう側面もありますが(笑) 

地元のお父さんたちが中心になって、よく会合をしよったんですよ。公民館を借りたり、古い家を借りたり。人がどさっと集まって、車をダーっと道に置くもんだから怒られて(笑)。それじゃあ具合が悪いということになったときに、この場所が私の友達の家で空いとったもんだから、借りることになったんです。

 

天井に取り付けられたおしゃれなライトは山から「つる草」を取ってきて、紙を巻きつけたハンドメイド。

 

――    地元住人の拠点だったんですね!

畑中  そうそう。我々仲間が遊ぶところを作ろうっていうのが始まり。その代わり、リフォームはしなきゃいけんから、自分達できれいにして自分達で使おうって。だけど、完成しかけたら、結構いい感じで。「これはお客さまを呼んでもいいかも?」ということになって、厨房を作ることになったの。誰もたくさんのお客さんが来ると思わんもんだから、3坪の小さな厨房にしたんですよ。喫茶店用の。

 

――    畑中さんはリーダーだったんですか?

畑中  うーん。なんで、今もわたしがおるかというと、友人にそそのかれて(笑)。

 

――   そそのかされて…(笑)

畑中  当時、私も焼きものの商売をしよったんだけど、うちがここから近いもんだから、大工の手伝いとかをしてたわけですよ。そしたら「お前が館長になって、ここのお世話をしてくれんかね?」って。誰もほかにおらんしっていうことで引き受けたんですよ。


館長の畑中さん。現在は、奥さまと二人でお店を切り盛りしている。

 

食べる波佐見、感じる波佐見

――    オープンしてからの様子はいかがでしたか? 

畑中  みなさんが宣伝してくれたもんだから、1日どっとどっととお客さんが来てくれたんですよ。年間に1万人ぐらい。今は6000人ぐらいでしょうか。リピーターの人とか、観光パンフレットで見たとか、そういうので来ていただくんですけど。波佐見焼がある程度、名が通るようになってきたんだなあとうれしく思っています。

 

――    メニューはどなたが考えているんですか? 

畑中  四季舎がオープンする前から、リタイアした人たちが集まって「つんなむ会」というのを作っていたんですよ。つんなむ会のまかないとして始まったメニューを私と女房で受け継いでいる形です。

「最初は“どうしよう、お客さんが来た!”って泣きそうになってましたが、17年もやってると、どうにかなるやって(笑)」と話す、畑中さんの奥さま。

 

畑中  わたしが開発したメニューもありますよ。うどんとカレー、ピザはそうです。例えば、黒米を使った真っ黒いカレー。波佐見の川内という地域でちょっとずつ黒米を作っていただいてます。普通のうるち米とは、ちょっと違うでしょう? ここで使う以上はずっと作ってねって言うとんけんですね。その代わり、いいできのときも、悪いときも、全部買って使います。

 

――    どうして黒いカレーを思いついたんですか?

畑中  それをばらすとちょっと(笑)。実はね、はじめは白ご飯でカレーを出しとったんですよ。そしたら白ご飯がなくなって、それで定食用で余っていた黒米にかけて出したら、すごく喜ばれて。それからずっと黒米にしたんですよ。黒米を使ったカレー、珍しいでしょう? ルウは4日間、煮込むんですよ。一度冷まして、また煮る。今日も3日目を煮ておりました。明日もう1回煮らんば。そうすると、とろけてよ〜うなってきます。おいしいですよ〜!



次回は、四季舎でいただくことができるこだわりの料理をまだまだ紹介していきます。

(最初から読む)



文化の陶  四季舎

長崎県東彼杵郡波佐見町中尾郷660
0956-27-6051

営業時間  10001500
定休日 水曜・お盆・年末年始

この記事を書いた人
Hasami Life 編集部