窯元探訪【一真窯】眞崎善太さん vol.2 話題の「白磁」、デザインの原点
波佐見町には全部で59つの窯元があります。小さな町のいたるところに、波佐見焼と真摯に向き合う「人」が存在します。このシリーズでは、ひとつひとつの窯元を順番に尋ね、器づくりについてはもちろん、ふだんは見られないプライベートな顔まで、ご紹介します。
今回は、手彫りシリーズの白い器「白磁」で人気の『一真窯』への探訪 vol.2更新。眞崎善太さんに“波佐見の焼きものづくり” についてお話を伺います。
―― 大人気の白い器、「白磁」の手彫りシリーズはいつから始めたのですか?
眞崎さん(以下、眞崎) 本格的にやり始めたのが10年ぐらい前ぐらいからかな。でもね、やってはいたんですよ、20年以上も前から。その時は花をモチーフに絵付けした「花街道」と、染付の「温故知新」というシリーズが中心でした。
―― 「温故知新」は藍を使われているんですか?
眞崎 ええ。昔ながらの藍色が「温故」、素材が「知新」。持ってもらえばわかるんですけど、ものすごく軽いんですよ。昔は、こういうお皿ってドスンと重かった。素材を開発したっていう感じですね。景気がいい頃は、流通がもっとしっかりしてて、情報が向こうからやってきてましたから。東京や大阪のバイヤーが来て、問屋さんが真ん中に入って、「こんなの作って!あんなの作って!」って。
眞崎 でも、バブル崩壊やリーマンショックの影響を受けて、その前に比べて売り上げががた落ちしたんだよね。問屋さんを100%あてにできないし、問屋さんからもあてにしてくれたら困ると言われるようになって。じゃあ、自分なりにやっていかなきゃと。「花街道」「温故知新」「白磁」の3つのくくりをしっかりと作った。そして生き残ったのが「白磁」。 “シンプルな個性”がテーマなのですが、7〜8年ぐらい前からだんだんと認められてきたという感じです。
―― それは東京ドームで行われた焼き物フェアがきっかけ?
眞崎 うーん、どうだろう。最初はみなさん、まったく飛びつきませんでしたよ。「波佐見の所在地がどこなんだ?」とか、「波佐見焼きって何なんだ?」というような説明をするだけの期間が5年ぐらいは続いてますから。「有田は知ってるけど、波佐見は知らないな〜」なんていうやり取りばっかりでした。
―― 波佐見を知ってもらうところからのスタートだった。
眞崎 まさに!「有田はご存知ですか?」「嬉野温泉はわかりますか?」「長崎のハウステンボスは?」「じゃあ、有田と嬉野が東にあって、西にハウステンボスがあって、その真ん中が波佐見です」って(笑)。
―― 毎年、お客さんと会話をしていく中で変化があったのですか?
眞崎 いきなりたくさんを買うんじゃなくて「これ、おもしろいわね。何個か買って帰ろうかな?」というお客さんが「使ってみたら、よかったわ!」っていう感じでリピーターが増えてきたんです。少しずつ、少しずつ、少しずつ、少しずつ認められてきたパターンですね。
長崎県東彼杵郡波佐見町中尾郷670
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【一真窯ショップ"とっとっと”】
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