夏に使いたい器 vol.2(焼きもの編)

夏に使いたい器 vol.2(焼きもの編)

2020.08.12

さわやかな器、たとえばガラスのような透明感のある材質に心が惹かれる季節。でも、暑い夏にだって十分に大活躍している焼きものがあります。

器は、材質だけではなく、色選びや食材との組み合わせなど、いくつかのポイントを押さえることで、見た目も涼やかに演出することができます。今回は、夏にも使える焼きものの魅力をご紹介します。

 

呉須の青色で涼やかに

みなさんは「呉須(ごす)」ってご存じですか? 古くから焼きものの下絵付に使われてきた”青色の絵具”のことを焼きものの世界では、呉須と呼びます。この青色が、夏にとっても似合うんです。

今回そうめんや薬味などを盛り付けた「西花(せいか)」シリーズの“とくさ”“あみ”。美しい呉須で染付された、たいへん人気のあるシリーズです。

左から、とくさ 大鉢あみ そば猪口あみ 3寸皿あみ 汁次。とくさ 大鉢には2人分のそうめん、あみ 汁次(125ml)には追加用のめんつゆが入る。

異なる柄をしたとくさとあみですが、呉須の色味が共通点に。バランスが取れたコーディネートができます。

シダ植物の「木賊(とくさ)」をイメージしたとくさ柄。木賊は高さ40cm~1m位の節の多い植物でスギナ(つくし)と同属。日本庭園や窯元の庭先でもよく見られる。

漁猟の網をモデルにしたたあみ柄。連続性があり波模様のような大らかなタッチが魅力。

 

清潔感のある白とカンナ彫り

どんな料理とも相性がよく、野菜の色も映える白い器。釉薬や柄次第で、単調に見えがちな白にも清潔感と特別感がでます。そこで紹介したいのが、一真窯の彫刻紋シリーズ

白磁カンナ 平碗 小に、この時期にぴったりな酢の物を盛り付け。の3サイズ展開。

半乾きの生地に”飛びカンナ”と呼ばれる彫りの技術を施すことで、その美しい模様を削り跡に生かしています。素焼き、釉薬掛けを経て、うっすらとカンナ跡が浮かびあがり、白い器に存在感を与えてくれます。

直径が広く浅い平碗なので、どの方向からでも料理が綺麗に見えます。カンナ跡を生かして余白を大きく取り、料理を少なめにのせることで、上品な盛り付けにすることもできますよ。

職人の手で、器の内側と外側に施された飛びカンナが美しい。

 

素材を引き立てる、さわやかな白とライン

日本だと陶磁器は冬のほうが人気です。それに対して、スウェーデンでは、制作の工程で感じる素材の温度や用途から、陶磁器は夏もの、ガラスは冬ものとされています。ガラスをキャンドルホルダーや照明カバーとして使用することも多いそう。

スウェーデンのストックホルム在住のガラス作家・山野アンダーソン陽子さんがデザインしたテーブルウェアシリーズ「Yoko Andersson Yamano」は、まさに北欧での暮らしの中から生まれた夏でも合わせやすい磁器。ヴィンテージのオーバル皿のような美しいフォルムがあり、リム(皿の縁)下に指が入るので持ち運びもしやすいんです。

 

ほどよい量がのるリムオーバル 260mm(gray)にスパイシーなやきそば、リムプレート 100mm(white)に薬味をのせて。

使い勝手が難しいと思われがちなオーバル型ですが、バゲットやパスタなどの食材が、器の中に収まりやすいので盛り付けも簡単。リムオーバルは、深さが3センチあるので、パスタやカレーなど汁気がある料理でも安心ですよ。

ラインは4色展開。定番のwhite、どんな色にも合わせやすいgray、さわやかに見せたいときのgreen、さし色にbrownを使ってもおすすめです。白い磁器の縁にさりげなく入るラインは、手持ちの器やインテリアとも馴染みやすく使いやすいんです。

(キャプ)リムオーバル 260mm(gray)。リムに施されているラインは、すべて職人の手によりひとつひとつ丁寧に手描きされている。

 

(関連する記事)

ロングセラーを味わう。

窯元探訪【一真窯】眞崎善太さん

 

(過去の記事はこちらから)
この記事を書いた人
Hasami Life 編集部