やさしい甘みとコク。波佐見のみそづくりを教えていただきました。

やさしい甘みとコク。波佐見のみそづくりを教えていただきました。

2025.03.28

「九州のみそって、こんなにも甘いんだ!」

昨年の春から波佐見町に移住したHasami Life編集部2名。
日々のお料理に使うみその豊かな香りとやさしい甘みにすっかり魅了されてしまいました。


いろいろ試すなかで、せっかくならば地のものを、と波佐見町のなかでも農業が盛んな地区・鬼木郷でつくられる「鬼木棚田みそ」を自宅で使っています。

棚田みそは、米と麦と大豆を合わせてつくった「合わせみそ」。定番のお味噌汁だけでなく、カレーの隠し味やパスタ、中華の炒め物など、ジャンル問わずちょっと加えると、味に深みが増すんですよ。

「日本の棚田百選」にも選ばれた棚田のある鬼木郷。

1月に東京で開催したHasami Lifeのリアルイベントでも棚田みそを使った味噌汁を「COTO COTO」でふるまい、大好評をいただきました。

また、料理教室や波佐見コラボメニューでも、こちらのみそが大活躍!

料理家のminokamoさんは棚田みそを使った「みそミートソース」と「みそポタージュ」を。

みよし屋さんは、マンゴーソースと棚田みそを合わせたソースをタコスの隠し味に。

今回は、そんな棚田みそがどんなふうにつくられているのか、取材してきました!

取材にご協力いただいた「鬼木加工センター」のみなさん。


過去にもHasami Lifeで柚子胡椒の取材をさせていただいたのですが、今回の取材も快く受けていただきました。


【1日目】発酵までの下準備!

さっそく中へお伺いすると、原料となる米や麦を洗っているところでした。

「みそをつくるのには全部で3日間かかります。
一回の仕込みでつくるみその量は、ぜんぶで400kg。

まずは冷たい水で米と麦を洗って、黒い部分はひとつずつ手で取り除くんですよ」

なにも知らないわたしたちに教えてくださったのは楠本(くすもと)さん。
平成5年の、鬼木加工センター開業当初から働くベテランです。

ひとつのカゴで約13kgもの麦と米をひとつずつ選別し、黒くなっている部分は取り除く。気の遠くなるような作業……!

棚田みそは、波佐見や長崎県産の米、丸麦、大豆、塩を使いつくられます。まさに地元の味。

米と麦の選別を終えたら、それらを大きな蒸し器で蒸していきます。

機械からは真っ白の湯気がもくもく!
窓を開け、扇風機を回して一斉に換気。

時間が経つと、どんどんお米の蒸されるいい香りが部屋中に漂ってきます。

浴びていると肌がうるおって、すべすべに。「天然の美容ミストだ~!」と喜んでしまいました。
いつも作業をされている加工センターのみなさん、ほんとうに手もお肌もつやつやなんです。

蒸しあがったら、大きな台に広げていきます。
熱々の状態のままだと、このあとにあわせる麹(こうじ)菌が死んでしまうとのこと。

蒸し器の中でできたかたまりを手でほぐしながら、混ぜてかえして、40度くらいまで冷ます作業です。

両手のひらでこするようにして、かたまりをほぐしていく。

「夏場は特に、とってもきつい作業!」とのこと。
重いものを持ち上げて、中腰で作業して、さらにこの暑さ……ここまで見ているだけでも大変そうですが、それを一年中されているとは、感服いたします。


このあたりから、みなさんに「あなたたちもやってみる?」とお声がけいただき、撮影をしていた編集部もお手伝いスタート。

蒸したばかりの米と麦は、かなり熱い!
このあとに混ぜる種麹(たねこうじ)がだめになってしまわないよう、がんばって冷まします。
ちなみに、完全に冷え切ってしまうと、今度は発酵が起こらなくなるとか。

粗熱が取れた米と麦を一部、桶に入れて種麹を投入。

先に桶で混ぜ合わせてから、全体にまいていく。麹にしていく過程を「花をつける」というそう。

全体に行き渡ったら、広げていたものを集めて、発酵させるための「室(むろ)」にいれていきます。
1日目はこれで工程終了。

「室」と呼ばれているのは、自動発酵機。ひと晩寝かせながら発酵させる。

自動発酵機は、設定した温度に合わせ、自動でファンとヒーターを使い、温度調節をしてくれるすぐれもの。
発酵がうまく進めば、麹は自然と熱を発するんですって!

とはいえ、冬場は十分に温度が上がりきっていないなど、やはり人の目と手はかかせないようです。


【2日目】まだまだ発酵を続けます

2日目は、ひと晩寝かせた麹を混ぜ、さらに発酵を促します。
大豆は洗って浸水させておき、翌日に備えます。


【3日目】最終日! 力仕事のみそづくり

いよいよみそづくりの工程3日目。
ふたたび加工センターにおじゃますると、発酵を終えた麹が室から取り出されていました。

塩を量って混ぜていきます。

塩のかたまりを崩しながらよく混ぜ合わせたら、「塩きり麹」の完成!

塩きり麹ができたら、お次は大豆。

蒸しあがったものをひと粒いただくと、ほくほくで香りが豊かでした。これが麹とあわさったら、あのおいしいみそになるんですね。

こちらを機械でミンチにしていきます。

押し出されてくる大豆のミンチ。見ていて気持ちいい……!(笑)

すべて潰したら、いよいよ塩きり麹と混ぜ合わせる最後の工程です。
これまた大きな「かくはん機」へ投入!

大豆を入れる。

塩きり麹を入れる。

状態を見ながら冷まし湯を入れ、かたさを調節する。

混ざったものが出てきたら、樽へ落としていく。

熟成期間中にカビなどが発生しないよう、しっかりと空気を抜いて、ぎゅうぎゅうに詰める。

編集部もこちらの工程を体験させていただきました。
大豆や麹の入った桶を持ち上げるのがとても重たいですし、混ざったみそを押し込むのにはとにかくパワーが必要。

全部で5つの樽がいっぱいになるころには、腕がへろへろになってしまいました。

こんなにも力仕事が多いとは。そして、それを4人でされているとは……。
ほんとうに頭が下がる思いです。改めて、ありがたくいただきます。

すべて詰め終えたら、3日間にわたるみそづくりの工程は終了。
3か月ほど熟成したら、「鬼木棚田みそ」の完成です!

熟成を終えたら、色が濃くなり、香りもぐっと豊かになるとのこと。
「できあがったら分けてあげるから、またおいでね」と言っていただきました。たのしみです!

仕込んだ日付が書いてある樽がたくさん。


地元食材を使い、むかしながらの製法で。

こうしてみるとわかるように、棚田みその原料は米と麦、大豆と食塩のみ。
素材の味が、そのままみそのおいしさにつながっているんです。

一度につくる量が多いので、もちろん機械を使う部分もありますが、すべての工程に人の手がかかわっています。

むかしながらの製法でつくられ、長く愛される棚田みそ。
ぜひ一度、味わってみてください。

また、みそをはじめとした加工品は、鬼木の加工センターはもちろん、町内のスーパーで一部販売があるほか、遠方への配送も対応しているとのことです。

ファンも多く、東京方面からの注文もあるそうですよ。
気になる方は、電話にてお問い合わせください。


じっさいに食べてみた感想や、料理への使い方のアイデアがあれば、コメントやInstagramXなどでぜひぜひ教えてくださいね。お待ちしています!

鬼木加工センター

住所 長崎県東彼杵郡波佐見町鬼木郷990-5
TEL & FAX 0956-85-7416
営業時間 8:00~12:00 13:00~17:00 ※昼休憩あり
定休日 日曜日、毎月第一・第三土曜日
駐車場 道路をはさんで向かいに10台以上あり
HP https://peraichi.com/landing_pages/view/onigikakou833/


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この記事を書いた人
Hasami Life 編集部(すぎた)