HOME よみもの 波佐見の人 窯元探訪【一真窯】眞崎善太さん vol.2 話題の「白磁」、デザインの原点 2019.11.08 窯元探訪【一真窯】眞崎善太さん vol.2 話題の「白磁」、デザインの原点 by Hasami Life編集部 波佐見町には全部で59つの窯元があります。小さな町のいたるところに、波佐見焼と真摯に向き合う「人」が存在します。このシリーズでは、ひとつひとつの窯元を順番に尋ね、器づくりについてはもちろん、ふだんは見られないプライベートな顔まで、ご紹介します。 今回は、手彫りシリーズの白い器「白磁」で人気の『一真窯』への探訪 vol.2更新。眞崎善太さんに“波佐見の焼きものづくり” についてお話を伺います。 【一真窯】デザイナー・作家、眞崎善太さん ―― 大人気の白い器、「白磁」の手彫りシリーズはいつから始めたのですか? 眞崎さん(以下、眞崎) 本格的にやり始めたのが10年ぐらい前ぐらいからかな。でもね、やってはいたんですよ、20年以上も前から。その時は花をモチーフに絵付けした「花街道」と、染付の「温故知新」というシリーズが中心でした。 ―― 「温故知新」は藍を使われているんですか? 眞崎 ええ。昔ながらの藍色が「温故」、素材が「知新」。持ってもらえばわかるんですけど、ものすごく軽いんですよ。昔は、こういうお皿ってドスンと重かった。素材を開発したっていう感じですね。景気がいい頃は、流通がもっとしっかりしてて、情報が向こうからやってきてましたから。東京や大阪のバイヤーが来て、問屋さんが真ん中に入って、「こんなの作って!あんなの作って!」って。 「温故知新」は昔ながらの藍色が映える、ほっとするデザイン。なつかしくありながら、古い印象を受けないのが不思議。 「花街道」四季折々の花が絵付けされ、華やかな印象。 眞崎 でも、バブル崩壊やリーマンショックの影響を受けて、その前に比べて売り上げががた落ちしたんだよね。問屋さんを100%あてにできないし、問屋さんからもあてにしてくれたら困ると言われるようになって。じゃあ、自分なりにやっていかなきゃと。「花街道」「温故知新」「白磁」の3つのくくりをしっかりと作った。そして生き残ったのが「白磁」。 “シンプルな個性”がテーマなのですが、7〜8年ぐらい前からだんだんと認められてきたという感じです。 ―― それは東京ドームで行われた焼き物フェアがきっかけ? 眞崎 うーん、どうだろう。最初はみなさん、まったく飛びつきませんでしたよ。「波佐見の所在地がどこなんだ?」とか、「波佐見焼きって何なんだ?」というような説明をするだけの期間が5年ぐらいは続いてますから。「有田は知ってるけど、波佐見は知らないな〜」なんていうやり取りばっかりでした。 ―― 波佐見を知ってもらうところからのスタートだった。 眞崎 まさに!「有田はご存知ですか?」「嬉野温泉はわかりますか?」「長崎のハウステンボスは?」「じゃあ、有田と嬉野が東にあって、西にハウステンボスがあって、その真ん中が波佐見です」って(笑)。 400年の歴史と職人の技術を持ちながらも、もともと有田焼として売られていた波佐見焼は、知名度がまったくなかった。 ―― 毎年、お客さんと会話をしていく中で変化があったのですか? 眞崎 いきなりたくさんを買うんじゃなくて「これ、おもしろいわね。何個か買って帰ろうかな?」というお客さんが「使ってみたら、よかったわ!」っていう感じでリピーターが増えてきたんです。少しずつ、少しずつ、少しずつ、少しずつ認められてきたパターンですね。 一真窯の代表作ともいえる「白磁」の手彫りシリーズ。カンナで彫ることで模様を付ける。角皿の上にミニカップをのせ、お茶を出していただいた。 【一真窯】 長崎県東彼杵郡波佐見町中尾郷6700956-85-5305 公式サイトhttps://www.issingama.com/ 公式通販サイトhttps://issingama.com/shop/ Instagramhttps://www.instagram.com/isshingama/ 【一真窯ショップ"とっとっと”】 営業時間 10:00〜12:0013:00〜17:00定休日 不定休 ※HPで要確認 次回は、眞崎さんのモットーである「食器つくりから心の器つくり」を掘り下げ、新しいデザインの考え方についてお話を伺います。 この記事に関連する商品 彫刻紋〈白磁〉 丸皿 中 ¥4,070 彫刻紋〈白磁〉 丸皿 小 ¥2,090 彫刻紋〈白磁〉 角皿 中 ¥4,070 彫刻紋〈白磁〉 カップ ¥1,870 彫刻紋〈白磁〉 マグ ¥2,750 彫刻紋〈白磁〉 角皿 大 ¥9,350 Tweet 前の記事へ 一覧へ戻る 次の記事へ Hasami Life編集部 この記事を書いた人 Hasami Life編集部 people 関連記事 2023.01.28 漫画『青の花 器の森』小玉ユキ先生インタビュー【後編】波佐見焼と、青い絵付に惹かれて 後編では、小玉ユキ先生いわく「波長が合う」という焼きものの産地・波佐見町のこと、作中に登場するうつわのデザインの話など、波佐見焼の話を中心にじっくりと語っていただきました。 2023.01.27 漫画『青の花 器の森』小玉ユキ先生インタビュー【前編】仕事へのリスペクトからはじまる大人の恋をリアルに描く 2022年に完結した漫画『青の花 器の森』。焼きものの生産地・波佐見町を舞台に大人の恋愛を描いています。完結したいまだからこそ聞ける創作エピソードの数々を小玉ユキ先生にじっくり伺いました。 2023.01.21 窯元探訪【陶房青】vol.25 望月祐輔『これからの陶房青がつくる波佐見焼。』 「陶房青(とうぼうあお)」さんの窯元探訪『後編』の公開です。事業継承で窯元を継いだ現・代表の望月祐輔さんに工場やギャラリーを案内していただきながら「これからの陶房青」について尋ねます。望月さんがいつも心に携えている「夢とそろばん」の話とは? 「継続」への鍵とは?
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