SAKEを愉しむ vol.1   六十餘洲と波佐見焼

SAKEを愉しむ vol.1   六十餘洲と波佐見焼

2019.11.08

日本酒を愉しむ醍醐味のひとつ、酒器。盃やおちょこ、ぐい飲みだけでなく、最近では、蕎麦猪口になみなみとお酒を注いで愉しむ人も増えています。キリッと冷やした冷酒だけでなく、熱燗をじっくり愉しみたいなら、徳利があってもいいですね。お酒の愉しみ方も、好みの酒器も、人それぞれです。

日本酒の起源には諸説あるものの、おおよそ稲作文化が伝わった弥生時代、つまり23002400年前に始まったといわれています。お米の国だから生まれた日本酒は、わたしたち日本人の生活とともに歩んできました。


現在、日本酒を醸造したり、貯蔵したりする“酒蔵(さかぐら)”は、全国に1,400以上(参考:国税庁 清酒製造業の概況/平成29年度調査分)。醸される銘柄は、なんと1万以上といわれる。


それぞれの土地で、それぞれの風土に合わせて造られる、旨い酒。米どころである波佐見町にも、地元民に長く愛され続けている酒蔵がありました。

 

波佐見、唯一の酒蔵「今里酒造」

山々に囲まれた静かな盆地で誕生した今里酒造。1772年の創業以来、250年近く、同じ場所で変わらずに日本酒を造り続けています。周辺の家々にも、かつての商いによる建物の名残があり、その古くとも美しい町並みは2004年に「まちづくり景観資産」に指定されるほど。今里酒造の建物は、創業以来たびたび増築されており、現在は十数棟ありますが、そのうちの六棟が2006年に国の登録有形文化財に登録されています。今里酒造の長い歴史は、誰が語ることなくとも、その佇まいにまっすぐに現れています。

数々の品評会やコンクールでの実績がずらり。実直に酒造りをすることで有名。

今里酒造では、波佐見町で契約栽培される山田錦やレイホウなどを主原料にするなど、風土に根づいた米や水などの“地元の原料”にこだわり、“手造りの酒”を追及しています。

一麹、二酛、三醪の基本を守り、香りと味わいのバランスがとれたお酒を蔵人一丸となって造っている。

今里酒造の酒の多くが、波佐見町内や県内全域で消費されています。様々な食事にも合う酒として、地元を中心に親しまれる。これぞ “地酒のかくある姿”です。



六十餘洲(ろくじゅうよしゅう)ひとすじ!

今里酒造が造るのは『六十餘洲』のみ。それ以外の銘柄は存在しません。名前の由来は、かつて60余りの国々があった日本で、全国の人にこのお酒を楽しんでほしいという意味があるそうです。

その人気は地元はおろか、全国にもとどまらず、イギリスのロンドンで開かれる世界最大規模とされるワインの国際品評会「インターナショナルワンチャレンジ」(IWC)でも、高く評価されています。IWCでは、上品な吟醸香があり、柔らかい口当りのあとに旨味が広がる味わいの『六十餘洲 純米吟醸 山田錦』が最高ランクのゴールドメダルに選ばれました。

ふだん、何気なくいただいている1杯の日本酒。たくさんの人の手がかかり、いろいろな想いが込められて、わたしたちのところへやってきます。農家のみなさんが大切に育てた米をつかい、蔵人が水を汲み上げ、米を蒸し、仕込みを行い、丹精込めて丁寧に酒を造っています。できあがった酒は、酒屋へ届けられ、呑み屋ではおいしい肴なんかと一緒にいただくことができる。なんて、贅沢な1杯なのでしょうか。

波佐見町の人ならば、誰しもが知っている酒蔵だ。

波佐見町に暮らす人たちが口々におすすめしてくれる『六十餘洲』。生まれた場所の水が肌に合うといわれるように、ふるさとの酒の味わいは格別。波佐見町へお越しの際は、ぜひ『六十餘洲』を召し上がってみてください。できれば、同じ場所で作られた波佐見焼の酒器で。地のものを、その土地で。これほど贅沢なことはありません。

蔵で直販していないので、お求めの際は波佐見町内の酒販店(今里酒店 0956-85-2073、湯口酒店 0956-85-3026など)にお問い合わせください。毎年4月の第3土日頃(前後する可能性あり)は蔵開きを開催。できたて絞りたてのお酒が味わえるチャンスをお見逃しなく。

次回は、SAKEを愉しむためのさまざまな酒器を紹介します。



(最初から読む)

 

 



今里酒造株式会社

長崎県東彼杵郡波佐見町宿郷596
0956‐85‐2002(お問い合わせは下記HP内のフォームよりお願いいたします)
https://rokujuyoshu.com/

この記事を書いた人
Hasami Life編集部