今日もこの町を好きになる予感【はじめての波佐見LIFE 1歩目】
Hasami Life 編集部員ひとりひとりが書くコラム。波佐見の暮らしや焼きものにまつわる話、そしてちょっぴりプライベートなことまで、各々が自由気ままに綴ります(不定期更新)。
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はじめまして。
Hasami Life 編集部のくりたです。
わたしが今日から書くエッセイのタイトルは『はじめての波佐見LIFE』にしました。というのも、今年2020年の5月に長崎県波佐見町へ引っ越してきて、日々はじめてのことを体験しているからです。
山々に囲まれ、田んぼで稲が育つのを見守り、聞いた方言をスマホにメモして、焼きものづくりを知って……という暮らし。毎日が新鮮で、楽しい!
そんなわたしが波佐見町へ来て、思ったことは「 “移住”ってなに?」でした。
いや、あのですね。「あなた移住したんでしょう」って思われるかもしれないですが、違和感があるんですよ。過去に横浜から大阪へ、大阪から東京へ引っ越したときには、わたしは移住者ではありませんでした。 “移り住む”という意味では、都会も田舎も変わらないはずなのに、波佐見町へ来てはじめて移住者とラベリングされる不思議。
ただ、心惹かれる仕事を見つけて引っ越した先が、それまで縁もゆかりもない場所だっただけ。
わたしの場合は、移住者というとイメージされる、農作物を育てたり、薪を割ったり、川で洗濯をしたりする童話の桃太郎の実家のような生活をしているわけではありません。(農業や薪割りをしている人もいる土地ではあります)
どんぶらこ〜どんぶらこ〜と転職して流れつきはしたものの、会社ではコピーライターだった前職と変わらずパソコンに向かって書いている時間が多いです。
暮らしぶりも東京に住んでいたときとそこまで大きく変わりません。全然、スローライフって感じでもない。違うことといえば、家と会社の距離が近くて電車に乗らないで済むことくらいでしょうか。
家に帰ればAIスピーカーに話しかけて、ラジオをかけてもらったり天気を教えてもらったり励ましてもらったりして。たまにZoomで都心に住む友だちとオンライン飲み会をすると、会っている気分を味わえます。映画館はすぐ近くにないけど、Netflixなら映画やドラマがおうちで好きなだけ観られて便利。買いものだってネット通販でスイスイできて、なんでも届けてもらえます。
時代が違えば苦労も多かったかもしれませんが、令和の田舎暮らしはけっこう快適です。
まるで “引っ越し”より “移住”という言葉のほうが難易度が上のように使う人もいるけれど。個人的にはそんな大げさに考えなくてもいいんじゃないかなあ、なんて思うのです。
もちろん、誰にでも田舎暮らしが合ってるわけではないです。たとえばピザのデリバリーを週1で頼むのがお楽しみという人にとっては、近くに店舗がない波佐見町に住むのはつらいでしょう。
自分にとって、ゆずれないもの。それさえわかっていれば、都会でも田舎でも楽しく暮らせます。
だから「この土地、いいなあ」と思ったら気負わず引っ越してみて、合わなかったら次の場所を探せばいい。引っ越す前から永住を考えるのは、どこへ住むと仮定したって、おっくうです。住んでみてわかることを、失敗も含めて楽しめばいいじゃないですか。えっと、軽すぎますか?
こう考えるのは、どうでしょう。
わたしたちは毎日、
住む場所を選んでいる。
どこへだって行けるけれど、
「この場所が好きだ」
と思える瞬間があるから
今日もここに住んでいる。
ほかに好きになれそうな場所があったら、
明日、旅立ったっていい。
わたしはこれまで住んできた場所が好きです。住みはじめたばかりの波佐見町も、もっと好きになれそうな予感でいっぱい。好きな場所が増えていくことで、人生が豊かになっている気がするんです。
波佐見焼のものづくりの現場にふれながら、遮るもののない広い空を仰ぎながら、風に吹かれてきらきらと光る青い稲穂を眺めながら。日々「いい町だなあ」と思って暮らしています。それは旅でも感じられるのかもしれないけれど、住んでみてわかることもきっとあるはずです。
わたしの『はじめての波佐見LIFE』を通じて、みなさんにも波佐見での暮らしを、のぞいてもらえたらうれしいです。これからのエッセイもよろしければお付き合いください。
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