SAKEを愉しむ vol.2 クラシックな徳利と盃
江戸時代や明治時代の徳利は、用途や大きさが様々でした。それは、徳利に限らず“器”には時代の色合いが反映されるからです。ここではまず、徳利の歴史から振り返ってみたいと思います。
徳利は醤油や油の貯蔵容器だった!
徳利は、日本酒を盃へそそぐための容器として使われますよね。でも、江戸~明治時代は、醤油や油などの貯蔵容器としても使われていました。徳利生産の最盛期といわれている明治中期には、波佐見だけでも年間35万本の徳利が作られていました。それだけ、陶磁器の徳利が普及していたのです。
見た目以上のお酒が入ります!
波佐見では、明治時代を中心に牡丹の柄が染付された“牡丹徳利”が数多く生産されていました。徳利には酒屋の名前も入っており、「量り売り」の機能も持っていたので、“通い徳利”とも呼ばれていたそうです。当時は1升が基本サイズ。2升以上の大きな徳利もあったと言われています。
現代では、量り売りを行う酒屋が少なくなったため、牡丹柄だけを生かし、現代のサイズに合わせて作られています。小ぶりに見えるけれど、たくさんの量(450ml)が入ります。大人数が集まったときにもおすすめです。
柄には時代が現れる
器の量産化が進むと、次第に柄が簡素化していきました。これは、江戸時代に作られた波佐見焼の大きな特徴でもあります。ラフに描かれた柄は、気取らずに過ごしたい日常にぴったり。ふだん使いしてこそ、真価を発揮してくれます。
まだまだある!クラシックシリーズ
「ロングセラーを味わう」でも紹介した50年以上続く“西花”というシリーズにもたくさんの種類の徳利と盃があります。まず、紹介したいのは、徳利と盃を含む15点すべてに万両(冬に赤い実を熟す樹木。万両という名前から、縁起木ともされている)の染付と縁錆が施されている“まんりょう”。角小皿や四寸皿(丸皿)もあるので、セットでも使えます。
ふだん使いにおすすめしたいのが、“とくさ”。クラシカルなイメージの中に今っぽさをも感じるデザインが人気です。小さな盃の内側まで手描きの線が施されている、繊細な絵付けもこだわりのひとつです。