アップデートを続ける産地。新作から見る、波佐見焼の“いま”。
冬がやってきます。
ホリデーやお正月の食事の時間は、お皿や飾りもいつもよりこだわって、ごちそうを囲む――そんなひとときにわくわくしますよね。
キラキラした細工や素材感、さりげなくアレンジされた伝統技法、ぱっと目を引く華やかな形。
さまざまな魅力のある器たちが、テーブルコーディネートによって彩られた特別な空間。
おもてなしの季節を前に、新しい器を迎えたくなるこの頃。
波佐見町では『新作発表会』が行われました。


じつは、今回ここに並んだ器は、11月27日(木)から東京で開催される『テーブルウェア・フェスティバル』に向けてつくられたもの。
波佐見町の各窯元や商社は、毎年このイベントに向け、新商品の開発に取り組んでいます。
毎年アップデートを続ける波佐見焼。今年も個性豊かな器が勢ぞろいです。
常に新しい波佐見焼の姿を模索し、新作をつくり続けることはとてもむずかしく、素晴らしいこと。
そしてなにより、今年は新作の発表会が初めて一般公開されました。
クロスや小物、カトラリーといったテーブルウェアとともに、華やかに彩られた12社の新たな器たちをご紹介します。
手彫りの技が映えるライン【一真窯】
一真窯は、カンナという道具を扱い彫り出す多彩な文様が特徴。
Hasami Lifeでも、彫刻紋シリーズとして白磁と藍墨のカラーを取り扱っています。

今年の新作はこちら。
白磁に「とびカンナ」の技法で表現された波紋のような文様のまわりには、落ち着いたカラーのラインが描かれています。
やわらかな紫やグリーンの外側にはグレーが重ねられ、中央に盛り付けた料理を上品にまとめてくれそう。

繊細な手描きに癒やされる【一龍陶苑】
一龍陶苑は、テーブルウェア・フェスティバルに長く参加しており、人気シリーズを広く展開してきた窯元。
量産をしてきたなかにも、たしかな職人の技が光ります。

イッチンの技法で描かれた、繊細な花々がかわいらしいシリーズが登場です。
葉や茎の色や花びらの色はそれぞれ塗り分けられており、手の込んだ仕上がり。
大きさの異なるプレートとマグカップを揃えてテーブルに並べたら、パッと華やかになりますよね。
ケーキを盛り付けて、ティータイムに使いたい器です。

和にも洋にも。シンプルリッチな白磁【永峰窯】
小規模でていねいな器づくりをする永峰窯。
薄くて軽い白磁や、淡いカラーを用いた品のある器が印象的です。

今年はラグジュアリーな和モダンの器が完成しました。
「紗綾柄(さやがた)」という吉祥文様が中央に描かれています。
「雲母」を原料とした絵の具が使われており、しっとりと光るのがポイント。

長崎を感じる線と彩り【大新窯】
「この窯元ならでは」の色イッチンの技法が得意な大新窯。
一つひとつ、職人の手によって描かれる絵柄にはあたたかみがあり、ファンの多い窯元です。

そんな大新窯からは、ステンドグラスをイメージした器が誕生しました。
黒のラインに、ぼんやりと光を通したようなカラフルな四角。
波佐見町が位置する長崎県に、数多くある教会をイメージした絵柄です。
クリスマスのごちそうを盛り付けるのにぴったり!

料理を飾る上質な絵付【重山陶器】
ロングセラーも多く、テーブルウェア・フェスティバルでも人気の窯元、重山陶器。
洗練されたデザインと、行き届いたラインナップが魅力的で、飾られたテーブルを見るとついついすべて揃えたくなってしまいます。

今回の新作は、さりげなく動きのあるリムプレートに、手描きでオリーブが描かれています。
オリーブの実の深い緑や、葉の鮮やかな黄色、絶妙なグラデーションが美しい逸品。
ほどよいリムはどんな料理も盛り付けやすいと思います。

カジュアルに青を愉しむ【高山】
伝統的な呉須の染付や、緻密なパット印刷が得意な高山。
最新技術を取り入れて生産を行っています。

今年の新作は、菊割の形がかわいらしい、ブルーの染付の器です。
プレートの円に沿って、ドットと花があしらわれています。
落ち着いた青はシルバーや白とあわせて涼しげな印象に。
カジュアルな場面でも使いやすいツルっとしたシンプルな磁器は、扱いやすさも抜群。

シンプルな白磁に光る個性【丹心窯】
無数に並ぶ透き通った円や四角。真っ白で上質な白磁との組み合わせが美しいのは丹心窯。
「水晶彫」と呼ばれる独自の技法で個性を磨く窯元です。

真っ白のなかに整然と並ぶ透明の模様は、「アール・デコ」様式から着想を得たもの。
今年は舟形のボウルとフラワーベースが仲間入りしました。
こちらのテーブルコーディネートはまさにお手本のよう。
幾何学的な模様とモノクロの小物、ドットのクロスをあわせると、スタイリッシュでまとまったテーブルが完成。
少しずつ揃えて、真似してみたいですね。

唯一無二。布目と土の調和【利左エ門窯】
現在は磁器を得意とする窯元の多い産地・波佐見で土もの(陶器)を手がける利左エ門窯。
伝統的な技法を活かしながら、現代のライフスタイルにもマッチするおしゃれな器を多く生み出しています。

こちらは料理を盛り付ける面に麻布を使って模様をつける「布目」という技法が使われているシリーズです。
チャコールグレーに浮かび上がる布の質感は均一ではなく、離れてみると濃淡が心地よい個性ある仕上がり。
余白を活かした盛り付けで、渋く格好のいい食卓になりそうです。

落ち着きの中にある揺らぎ【和山】
波佐見町のなかでも量産体制を誇る窯元、和山。
ナチュラルで使いやすいオリジナルブランドが多く、さまざまな場面で使いやすいのが魅力的です。

さざ波のような細かいレリーフに、淡くナチュラルなカラーリングの器が登場。
セミマットな質感で、さらりとした手ざわりです。
白い食材がよく合いそうで、冬にはあたたかなシチュー、夏にはそうめんなどを盛り付けたくなります。
茶系の色だけで揃えたり、反対にブルーだけにしてみたり。組み合わせによってさまざまなテイストのテーブルコーディネートができますね。

慎みのある上品な和のうつわ【石丸陶芸】
リッチな食卓を彩る器を多く手がける石丸陶芸。
モダンな器だけでなく、伝統的な古伊万里様式の器など、長く愛されるものにこだわってつくっています。

漆の塗物で古くから伝わる「合鹿椀(ごろくわん)」から着想を得た丼が誕生しました。
高台(こうだい)が高く、上品な風合いです。
まるで塗物のような黒以外にも、光沢のある白やブルーなど、日常の食卓にもなじむカラーバリエーションがポイント。
釉薬のかかった部分と、素地を活かした白い高台との質感の差もおしゃれですよね。

シンプルモダンで優美な装い【西海陶器】
波佐見焼のブランドを多数展開する商社、西海陶器。
シンプル・スタンダードなデザインで、幅広い食シーンに使える器を開発しています。

オリジナルブランド「essence of life」の「agasuke」シリーズに、銀彩を施した新作が加わりました。
シンプルでありながら、きらめく銀の美しさはインパクト大。
広いリムや、銀彩部分の余白を活かした盛り付けができそう。
銀は経年変化していくので、育てる愉しみもありそうです。

華やかなパールの輝き【浜陶】
100年以上の歴史をもつ商社、浜陶。
現代のライフスタイルに合わせた、実用的で多様なラインナップが魅力的です。

これまでのテーブルウェア・フェスティバルでも大人気だった、パールのようにきらめく器に、今年は新色が登場です。
やさしいピンクと白で揃えたら、可憐で愛らしいテーブルに!
カクテルグラスのような形の器や反りが美しいボウルは食卓に立体感をもたらします。
光を受けて輝くこちらのシリーズは、とびきりの特別感を演出してくれますね。

テーブルウェア・フェスティバルに参加する12社の新作。
どれも新しい表現や、手に取るひとのことを考え、追求した器ばかりです。
今回のよみものでは、写真とともにひと足先にご紹介しましたが、発売は2025年11月27日(木)以降となります。
各社それぞれの情報をお待ちくださいね。
そして、いち早く実物を手に取って見られるテーブルウェア・フェスティバルにも、どうぞ足を運んでみてください。
波佐見焼ブースでお待ちしています!
- 日程
- 2025年11月27日(木)〜12月3日(水)
- 時間
- 10:00〜18:00
- 会場
- 東京ドームシティ プリズムホール
- 公式HP
- https://www.event-td.com/tableware/
- 公式Instagram
- @tablewarefestival

コメントを残す