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使わなくなった器を、あたらしい器と交換。波佐見町『器替まつり』に行ってみた!

by Hasami Life 編集部(ながみね)
使わなくなった器を、あたらしい器と交換。波佐見町『器替まつり』に行ってみた!

こんにちは。
Hasami Life
編集部のながみねです。

みなさん、『器替(きかえ)まつり』というお祭りを聞いたことはありますか?
「器替」というのは、その名の通り「器」を「替」えること。欠けてしまった器や使わなくなった器を持参すると、あたらしい器を半額で購入できるお祭りだそうです。長崎県波佐見町で、毎年12月に行われています。

「ふむふむ。環境問題やSDGs(エスディージーズ)が叫ばれる昨今、焼きもの業界でも、資源をむだにしないための新しい試みを始めているんだな」と勝手な憶測をふくらませた矢先、2021年で16回目の開催だと教えてもらいました。ここ最近で始まったイベントではなく、想像以上に長く続いているお祭りだったのです。

Hasami Life編集部3年目、まだまだ勉強不足。と、ただただ反省するその前に、百聞は一見にしかず。「とにもかくにも、このお祭りに参加してみよう!」そう、思い立ったわたしは昨年末、取材へ行ってまいりました。今回は、わたしが見てきた器替まつりをしっかりびっちりとレポートしたいと思います。長くなりますよー!(&前置きも長くてごめんなさい)

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わたしは東京在住の編集部員。ふだんから波佐見町にいるわけではありません。今回も町のいろいろな人や場所を取材するべく、長崎へ向かうのですが、最大のミッションは「器」を「替」えること。そのための準備として、交換するための焼きものを自宅で探すところからがはじまりです。

ガラス以外なら、磁器でも、陶器でもOKとのこと。最近、出番の少ない器を選び、緩衝材(プチプチ)で包んでスーツケースへ。ちょっぴり切ない気分を、久しぶりに波佐見の地を踏める喜びでかき消しながら、一路、長崎へ。


羽田空港から長崎空港へ、直行便で2時間弱。わたしは神戸経由のちょっとお得な便で向かいます(所要時間は3時間前後になりますが、片道1万円をきることもあるんですよ!)。そこから高速道路は使わずに車を走らせること、40〜50分ほどで波佐見町へ到着です(そのほかの交通網をご利用の方は、波佐見町役場のHPを参考にしてくださいね)。



器替まつりの会場へ!

2021年12月5日(日)AM9:00。
波佐見在住の編集部員・くりたと合流です。
実は、くりたも2020年に波佐見町へ移住しているため、初の器替まつり。というのも、2020年は新型コロナウイルス感染拡大防止のため、イベント自体が中止に。2年ぶりの開催だったのです。ふたりでドキドキわくわくしながら、会場へ向かいます(というわけで、ここからの撮影はくりたです)。

会場は、皿山郷(さらやまごう)と稗木場郷(ひえこばごう)の一部。ひとつの大きな会場で行われるのではなく、皿山地域一帯にある窯元や商社、ショップそれぞれが会場になるので『皿山器替まつり』とも呼ばれます。端から端まで歩くと、40〜50分。わたしたちは車で移動しましたが、会場同士が近いところも多いので、お散歩がてら散策するのも気持ちよさそうですよ。

今回、参加しているのは6店舗(順不同)。

❶ 利左エ門窯(りざえもん)

❷ 治甫窯(じすけがま)

❸ 松尾陶器(まつおとうき)

❹ 浜陶(はまとう)

❺ 田澤幸祥窯(たざわこうしょうがま)

❻ aiyu(あいゆー)

すべてを回ってきましたよー!
回った順番にレポートしていきますね。

 

利左エ門窯(りざえもんがま)

初めに向かったのは、窯元探訪でも取材させていただいた「利左エ門窯(りざえもんがま)」さん。ラッキーなことにちょうど13代目の武村裕宣(たけむら ひろのり)さんがお店の前に!

武村さんに初めての器替まつりであることを伝え、本当にどの器も半額になるのかを単刀直入に聞いてみました。すると、「なりますよ!」との返事。前回の開催では、直前にテレビで紹介された高価な器を目指し、開店前から並んだお客様がいらっしゃったそうです。

ズバリ、12万円の器も、6万円で買うことができる。

「器替まつりってね、新しい器で新年を迎えようという意味があるんですよ。これは波佐見だけの習わしではなく、ほかの地域でも行われていると思うな」と武村さん。なるほど、だから、12月に行われるのですね。季節によって服の「衣替え」があるように、器も年に一度に「器替え」をする、陶器の町ならではの素敵で理にかなった提案!

さて、さっそくギャラリーとショップをいったりきたり、波佐見焼の品定め。

ううう、優柔不断。この間にカメラマンくりたは、可愛いポットをゲットしていました。買いものって出会いだし、性格も出ますよね。わたしはどうしても決められず。よし、残り5軒を回ってから戻ってきても遅くはあるまい。次へ行ってみよう。

 

治甫窯(じすけがま)

今度は「治甫窯(じすけがま)」さんへ向かいます。波佐見では、ギャラリーを併設している窯元やショップが多いのですが、それとは別に器替まつり期間中は特設テントが出ているところが多く、風にはためく万国旗が目立ちます。はじめは「なぜに万国旗?」と思っていたのですが、これが本当にわかりやすい。目印にして向かえばよいのですから。

ありましたありました、万国旗の飾られた治甫窯さん。ここでは、日本工芸会の会員でもある立井清人(たてい  きよと)さんが作陶しています。近年は落ち着いたブルーを基調にした大人っぽいマーブル模様がスペシャリテ。土もの(陶器)が中心で、味のある渋めの焼きものが揃っています。

ぐ〜るぐると、じっくり器を見ながら、3周ほどテントを回ったのち、よし、キミに決めた!

初買いものは一輪挿しです。わたしはここ数年、一輪挿しが好きで、かわいいものを見つけると集めているのですが、立井さんの一輪挿しは渋いのに小ぶりでキュート。ひとつとして同じ形、色みがなく、土の風合いがどれも素敵だったので真剣に選ばせていただきました。うん、いい買いものをした。

現在、自宅で愛用中。観葉植物、しかも小枝を生けるだけで、さりげない美しさが際立つのは土の力、手仕事の力。(撮影・ながみね)

ちなみにこの一輪挿し、持参したマグカップと交換することで本当に800→ 400円になりましたよ!

って、「本当に」って失礼ですよね。でも、試してみるまでは本当に疑心暗鬼で。だって、な〜んでも50%OFFですよ? ああ、やっぱり、ものすごく太っ腹なイベント。ちなみにPayPayなどのQRコード決済にも対応されていて、会計もスムーズ。取り扱いサービスは、各店舗で多少異なりますが、どこもキャッシュレス対応されていました。

立井さんともお話できました。作家さんと直接、お話できると本当にうれしいんですよね。立井さん、またゆっくりお邪魔しますねー!

 

 

松尾陶器(まつおとうき)

お次にやってきたのは、「松尾陶器(まつおとうき)」さん。こちらは手洗い鉢で有名な「工房 風(こうぼうかぜ)」さんに併設されたショップです。

お店の前には、多種多様な焼きものがずらり。土鍋や土瓶など、業務用食器が数多く置かれている印象です。いい意味で統一感がなく、「これは発掘しがいがありそうだぞ!」と宝探しを始めるようなワクワクを感じながら扉を開けると、ショップの中にも所狭しと品物が。波佐見焼だけでなく、焼きもの全般、竹細工やガラス製品なども置かれていました。


お店にいらっしゃった5代目の松尾正道(まつお まさみち)さんにお話を伺うと、松尾陶器さんはもともと窯元で、先代から商人に。全国を回って地方にある料亭や食事処の器を開発する仕事をなさっているそう。料理人と相談し、盛り付ける料理から形や色を決めるため、市場に出回らない業務用の食器をショップで販売していることも。だから、一点ものが多いのですね!

昔ながらの染付や、数十年前に作られた器も残っており、お隣の有田町で作陶されている有田焼も置かれていました。波佐見焼にこだわらず、プロ仕様の器をお探しの方や、珍しい焼きものが好きな方にはイチオシのラインナップ。お仕事柄、地方を回られる松尾さんのお話もおもしろいので、器の使い方なども含め、知りたいことがあれば、話しかけてみたらよいかと思います。一緒にお写真を撮り忘れたことが悔やまれます。また、掘り出し物を探しに伺いますね。

5割引どころか、すでに7割引きになっているコーナーで4点をお買い上げ。全部で2000円でした。ちなみに緑色をした小さな湯のみは、Hasami Lifeの掘り出し物市で大人気のジュエリーボックスシリーズ と同じ窯元が作られたものなんですよ。

さて、3軒回ったところであっという間にPM1:30。ちょっと遅めのランチは、皿山地域から少しだけ車を走らせ、新しくできたマルヒロさんの公園『HIROPPA(ヒロッパ)』で。ショップ内で販売されているお弁当(この日は、佐世保名物レモンステーキ♡)を野外のテーブルで食べました。

12月でしたが、外では元気に遊ぶ子どもたちがたくさん。コーヒーも飲めてのんびりできる素敵なスポットでした。

波佐見には、おいしいものもどんどん増えています。 甘いものが好きな方は、ぜひ、こちらの記事もあわせてどうぞ!

▼波佐見町で食べたい!スイーツ特集

https://hasamilife.com/blogs/walking/hasami-sweets

 

浜陶(はまとう)

午後は「浜陶(はまとう)」さんからスタートです。現在は町の中心部に本社とギャラリーがありますが、創業の地は皿山地区。今回は、主な会場とは少し離れた本社横にイベントスペースが設置されることになりました。

浜陶さんは波佐見焼の総合商社。ですので、波佐見の窯元の焼きものがとにかくいろいろと買えるのが楽しいんです。「伝統的な焼物から、現在のライフスタイルにあったカジュアルな焼物まで(HPから抜粋)」、ここでは波佐見焼の振れ幅を堪能することができます。

なんとまあ、アボカド柄の器もありましたよ。アボカド好きの友人にプレゼントしてあげたい! ユニークな器も多く、器の詰め放題も開催中でした。

広報の太田海斗さんが手が空いた瞬間を見計らってパチリ。ずっと外で接客されていると、とっても寒そう。歩き回っていると、そこまでしんどくありませんが、波佐見は思ったより寒いので、暖かくしてお出かけくださいね。

ここでは、キリン柄のお皿と交換。わたし、キリンが大好きなんです。この「animal」シリーズ(ほかにエレファント、ベアなど)は今、とても人気があるそうですよ。中でも、キリン柄が一番人気なんですって。「やっぱりね」と謎にご満悦なわたし。

 

田澤幸祥窯(たざわこうしょうがま)

再び、車を走らせて向かったのは、田澤幸祥窯(たざわこうしょうがま)さん。こちらは手描きの器を専門にされている窯元さんです。

渋い、とにかく渋い。でも、わたしの好みド直球の器たちがそこにはありました。Hasami Lifeの取材を始めて約3年。こんなに素敵な窯元さんを存じ上げなかったとは! 特に龍が模されたカップを前に迫力に魅せられていると、「それが描けるのは、70代の職人さん一人だけなんですよ」と田澤孝幸(たざわ たかゆき)さんが教えてくださいました。

いつもは卸を専門にされているため、工房を開放するのは、この器替まつりだけなのだそうです。もちろん、商社を通して市場に出回っている波佐見焼ですが(一部商品は浜陶さんのショップ「杜器」で購入可能)、器を手に取りながら一度に見られるチャンスは一年に一度。その上、とにかく良心的なお値段で販売されていました。器替まつりじゃなければ、なかなか入れない場所、そして会えない職人さんなのです。

「龍が描かれているカップは、湯のみじゃなくて、焼酎カップなんだよ」と教えていただき、それならばセットで買って酌み交わすしかあるまい、と2個連れて帰ることに。この季節はお湯割を、夏場はロックで、これで焼酎タイムが楽しくなるぞ。

並々のふちと繊細な絵付けが可愛らしい小皿は、なんと1枚100円。焼酎カップはひとつを器替していただき、占めて1900円なリ!

呉須による繊細な絵付けは、波佐見焼の本来の魅力。若い年代にも、もっともっとこの手仕事の素晴らしさが伝えたいと改めて思いました。いつか、龍たちが描かれる現場を取材させていただきたい! 

 

aiyu(アイユー)

6軒目はaiyu(アイユー)さん。aiyuさんは、焼きものの問屋さん。町の窯元とタッグを組み、職人の手仕事を生かした波佐見焼を生み出しています。直営店ではふだんからaiyuさんが手がける波佐見焼を購入することができますが、この日も老若男女、幅広いお客さんが集まっていました。

色にこだわったカラフルな食器や、無機質なラインの中に温かみの感じる陶器の器は、日々の生活に取り入れやすいものが多く、すでにわたしの自宅にもたくさんあるんですよ。それでも、さらに新しい焼きものをお迎えすべく、探す、探す、探す。

今回は、料理を盛るためではなく、入れ物として焼きものをセレクト。ざらっと不思議な質感とやさしさの残る色み、なによりもこの道具感のあるデザインが購入の決め手に。「IRONシリーズ」というのだそうです。メンズライクでカッコいいですよね。ここでも無事、器替え完了です!

 

よく鍵をなくすわたしもこれで安心。毎朝晩、必ず手に触れる波佐見焼になりました。(撮影・ながみね)

器替まつりの実行委員長も務めるaiyuの小柳勇司さんにも、直接お話を伺うことができました。毎年、この日を楽しみにしてくれているお客様もいて、リピーターもたくさん。ご家族で来ていただくことも多いとか。

 「交換した器は、タイルなどにして町中のオブジェにしたり、わかりやすい形でリサイクルしていたこともありますが、今は建築関係の資材に生まれ変わって見えないところで活用しているんですよ!」と小柳さん。 ただ捨てられるのではなく、たとえ目立たない場所だとしても確実に使われるものへ生まれ変わり、地域内で循環を続けていく。それはエコの本来あるべき姿なのかもしれません。

 

さて、「器を交換する」というイベントの趣旨をすっかり忘れ、爆買いに走ってしまったわたし。小柳さんとの会話から「ものをむだに増やさず、でも新しいものは大切に迎え入れ、ちゃんと使い終わったらリサイクルをする」という器替まつりの精神に立ち返り、やや反省しながら初めに訪れた「利左エ門窯」さんへ戻ることに。この時点で、もう「あれを買おう!」と心に決めていました。

左は元々、持っていた器。右が最後にゲットした焼きものです。そう、以前訪れた時にはひとつしか買わなかった器をもうひとつ、購入してみたのです。約一年ぶりに再会したこの器たち、東京で過ごした器と波佐見で過ごした器の風合いがちょっぴり異なるのもまた趣深い。これにて、わたしの初めての器替まつりはおしまいです。

 

器替まつりレポートを終えて。

じっくり見ていたら、1日はあっという間。それぞれの会場で出会う波佐見焼は、それぞれにカラーがあって、本当に1日中、楽しく回ることができました。

家族分を新調して新年を迎えたり、実際に使ってみて気に入った器を翌年にもう一枚増やしてみたり、毎年少しずつ器を揃えていく楽しみ方こそ、器替まつりの真髄なのかもしれません。

お店によっては、たいへん高価な器もあります。器替まつりのルールとしては、もちろん全て半額で交換できますが、あくまでもご自宅で焼きものを使われる方のための器替まつり。波佐見町に足を運んでくださる方々がこれからも愛を持って参加してくれたら、この先もずっとずっと続く、素敵なお祭りになるに違いないと思いました。

今回の戦利品。器が増えてしまいましたが、ますます大切にガシガシと使います!!!

波佐見町では、年中たくさんの陶器のお祭りが開催されています。ここ数年は感染症対策もしっかりされ、多くの陶器まつりが少しずつ形を変えながら開催されるようになりました。

・中尾山桜陶祭(毎年4月に開催)

・波佐見陶器まつり(毎年4/29~5/5に開催)

・中尾山秋陶めぐり(毎年10月に開催)

・波佐見あちこち陶器まつり

今年はみなさんが波佐見へ訪れることができますように。わたしも状況を見ながら、また足を運びたいと思っています。陶器の町、本当にほんとうにいいところですよ。ぜひ、いつかいらしてくださいね。編集部一同、心からお待ちしております。

 

(ながみね)

  

よかったら、こちらもお読みください。

▼今年こそ、波佐見へどうぞ!

https://hasamilife.com/blogs/walking/welcomehasami

 

Hasami Life 編集部(ながみね)
この記事を書いた人
Hasami Life 編集部(ながみね)
Hasami Life に立ち上げから携わる編集部員。初めて訪れた波佐見町に魅せられ(鬼木棚田からの眺めは国宝級!)それ以来、波佐見町や長崎県内にちょこちょこ出没。ここ数年は波佐見のおいしい空気が吸えなくて、とてもさみしい想いをしていたが、今回は久しぶりに波佐見の町を堪能。たくさん買い物をしてしまいました。